世界で独自の進化を遂げるジャパニーズフードの今。

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その昔、世界中で「寿司」を食べれば、その多くは日本人が顔をしかめるものでした。しかし、世界的チェーンの日本料理の店が増え、たとえ外国人だけで経営していてもおいしいと思える「寿司」もあります。さらに私たちを驚かせてくれるのは、柔軟な発想で、日本料理を進化させたジャパニーズ・フュージョンが増えていることです。世界の料理人たちは日本の料理を研究し、再現し、自国の人のニーズに合わせて進化させています。日本食レストランが急速に増える近隣のアジアに対して、その発想力の豊かさを比べると、さすがスターシェフをたくさん輩出する欧米です。今回は、その欧米で日本料理がどんな風に進化しているのか、現地のリサーチャーがレポートします。

~From London~
ゴードン・ラムゼイ氏やヘストンブルメンタール氏らの活躍で「モダン・ブリティッシュ」料理ブームに一気に火がつき、食事を巡る環境は以前に比べてぐっと改善されたロンドン。選択肢も広く、世界各国の料理が気軽に食べられる中、ヘルシー志向もあいまって日本食、特に寿司の人気は定着している。最近では、より専門的な料理を求め、讃岐うどんやラーメン、お惣菜などの和食を提供するレストランも登場している。

●小皿料理の新しいかたち「Japanese Tapas」
ここ数年、スペインのタパスをモダンにアレンジしたお店が流行中のロンドンで、新しく登場したのが和風タパスを前面に出したレストラン。少しずつ沢山の種類を食べられるタパスはまさに日本の小皿料理と同じスタイル。「Suzu」では枝豆、揚げ出し豆腐などの正統派和風タパスを、「Dinings」では創作風の高級な和風タパスが食べられる。

●ベジタリアン向け、ベジ寿司
スーパーでは魚貝の一切入らないベジタリアン向けの寿司が人気。日本でも「野菜の寿司」はあるが、イギリスの場合、ティーンエイジャーのベジタリアンが多く、ごくごく自然な流れで野菜ベースの寿司が生まれた。ロンドンではベジタリアン寿司はサラダのひとつで、太りたくない人のヘルシーメニューとしても人気となっている。

左から、見た目も繊細で美しい「Dinings」の和風タパス
/ベジ寿司のネタは、カラフルなパプリカやアスパラガス、枝豆とサンドライトマトの軍艦など

~From Paris~
ここ10年でパリのあちこちに日本食、特に寿司、さしみ、焼き鳥等を手軽に楽しめるレストランが増えた。スーパーには日本食の軽食や食材等が並び、デリバリーの選択肢もピザ?寿司?と言われるほど一般化している。単語としてのsushi、miso soup、tofuが特別感をはらむことなく、フランス人の口から出るほどにしっかり和の味覚は浸透している。また、お弁当文化(箱に前菜からデザートまでのすべてが詰まっている+視覚美)の紹介とそのメジャー化が進んで、ここ3、4年、BENTOという単語も浸透してきている。

Nanashiの弁当風の人気メニュー「ベントーパリジャン」

●マクロビ×和×BENTOで注目を集める「Nanashi」
パリで活躍する料理家、遠藤カホリさんが手がける「Nanashi」は、パリに3店舗を構えるカフェ・レストラン。ビオ野菜をたっぷり使うマクロビオティックをベースにしたメニューと、現地の素材の味を活かしつつ和風の味付けが人気となっている。「Nanashi」の定番メニューとなっているのが「ベントーパリジャン」。これは弁当箱に見立てたトレーに前菜のサラダとの盛りつけと、穀物をまぜたお米の上にメインが乗っているもので、肉・魚・野菜の三種類から選ぶことができる。デザートには抹茶や柚をつかった和テイストのケーキが並び、こちらも人気メニューとなっている。

~From バルセロナ~
5年ほど前から盛り上がっているバルセロナでの日本食ブームもここにきてブームが定着。そんな中、バルセロナではより専門的な日本食である、お好み焼き屋さんやラーメン店、炭火焼き肉店などがオープン。もはや日本食レストランでお寿司とお刺身を食べるだけが日本食ツウでは、なくなってきている。

●ここは日本?と思わず錯覚する炭火焼き肉屋さん登場
2011年8月にオープンした「Carlota Akaneya(カルロタ・アカネヤ)」は、京都の茜屋という炭火焼き肉店をそのままバルセロナに持ってきたもの。日本風の炭火で焼く、焼き肉は、バルセロナではこのお店が初めて。グルメなスペイン人の間で「KOBE」と呼ばれ最近注目を集めている神戸肉もメニューにあり、贅沢なディナーが楽しめる。オーナーがプライベートで日本を訪れた際、京都で炭火焼きの焼き肉店に感動したことがきっかけで誕生した。

●日本食専門ポータルサイトが登場
日本食にまつわる様々な情報を集めたポータルサイト「COMER JAPONES.com」は、スペイン全土の日本食店を調べることができる。このサイトは、レストラン紹介の他、日本食の料理教室やレシピ、日本に関する最新情報が細分化されており、バルセロナでの日本食への関心の高さがうかがえる。 サイトを運営しているのは、1991年から日本食の食べ歩きブログを書いて大人気になった、グルメジャーナリストのRoger Ortuno Flamerich(ルジェー・オルトゥニョ・フラメリック)氏で、Facebookページは50,000Likeを誇り、日本食についてファンと活発なコミュニケーションを行っている。

左から、本格的な炭火焼き肉は、日本食に慣れたスペイン人にも新鮮/日本食ポータルサイト「comerjapones.com」

~From New York~
NYでは不況の影響かここ数年カジュアルで安いレストランに人気があり、なかでもラーメン店のオープンが加速している。食通や若いNew Yorkerの間で、“Ramen Noodle”という言葉はSushiやTofu、Edamameと同様に一般化。日本で著名なラーメン店(一風堂やせたが屋等)がNYに進出しているが、アメリカ人向けに工夫され進化したラーメンも大人気。

●がっつり系とヘルシー系、二極化するラーメン人気
NYで進化したラーメンの一例として、「Momofuku」のラーメンはアメリカ人向けにスープにベーコンを使用しているのが特徴。またラーメンのサイドメニューと言えば日本では餃子だが、ボリュームを求めるアメリカの国民性を反映し、蒸しパンに豚角煮を挟んだ「バンズ」を用意している。また、ヘルシー志向のNew Yorkerのためにマクロビをとり入れたラーメンが登場している。「Souen」の野菜で出汁をとったベジタリアン用のラーメン、「Tabata Ramen」の大豆とココナッツスープベースのアジア料理風ラーメンが人気となっている。

●日本のホットドック「Japadog」
最近NYに登場したカジュアルで進化した日本食の例として、 従来のホットドッグの上に日本食の定番である大根おろし、お好み焼き、とんかつ、ねぎみそ、梅とたまねぎ等をトッピングしたJapadog(写真は大根おろし)が手頃なお値段($5~$10)で登場し注目を集めている。

左から、Momofuku Noodle Barのラーメン(写真$16)は、肉好きのアメリカ人向けにスープにはベーコンを使用しているのが特徴/いまではマンハッタンに店を構えるJapadogは、2005年に一台の屋台から始まった

~カリフォルニアで進化を続けるロール寿司~
日本で寿司といえば、生魚が基本。しかし、生魚を食べられない欧米人でも食べられることから人気になったのがロール寿司。カリフォルニアロール(カニカマ、アボガドなどを海苔が内側になるよう巻いたものが一般的)やドラゴンロール(うなぎやきゅうりなどが入りアボガドで巻いたものが一般的)がそうであるように、アメリカ西海岸で生まれて名付けられ、世界に進出したものが多い。そんなカリフォルニアの寿司を研究すると、今後世界で人気になりそうな、ユニークな発想に出会える。

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