~シリーズ 世界のライフスタイル~ 10年ぶりに開放されるイラン市場
世界が注目するテヘランの今

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日本の約4.4倍の国土を有する広大なイランは、自然に恵まれた美しい国です。特にテヘランは北部にアルボーズ山脈があり、スイスを思わせる緑に溢れた美しい街で、17もの世界遺産があります。サウジアラビアとの情勢が報道されていますが、2015年8月23日には約4年前から閉鎖されていた在イラン英国大使館が再開し、欧州各国は2016年1月に経済制裁を解除しました。原油の埋蔵量が世界第4位、天然ガスの埋蔵量が世界第1位といわれるイランは制裁解除後、経済の発展と共に再び近代ペルシャ文明が開化する可能性を潜めており、世界から注目を集めています。そんなイランの首都テヘランの今をライフスタイル・リサーチャーがレポートします。

イランが石油輸出業の次に力を入れている自動車産業。ホドロー社の最新モデル(純国産開発車)デナー

イランが石油輸出業の次に力を入れている自動車産業。ホドロー社の最新モデル(純国産開発車)デナー

2006年末から約9年間にわたる欧米諸国の経済・金融制裁で閉ざされていた経済の門がついに世界へ開かれました。国内メーカー関係者は「欧米の制裁が解除されれば資源輸出の再開により外貨を獲得でき、購買力の上昇が期待される」と期待を寄せており、政府は石油依存体制の脱却を目指し、自動車製造業、家電製造業など他分野への投資を推し進めています。
GDPは2014年で約4,027億ドル(約50兆円)で経済制裁解除により2017年には経済成長率は7%近くに達するとみられています。人口7,740万人のイランは、高学歴者及び高技能者を多数抱えており、平均年齢が27歳と若い人材も豊富であることから、製造業や観光業、IT技術などの産業で大きなポテンシャルをもっています。イラン人は食事や買い物が大好きで、ブランド志向という人が多く、イラン人社会では学歴の次に、経済力を表わすファッショナブルな外見に重きを置く傾向があり、特に女性の購買欲は目を見張るものがあります。

現地の若者にファーストカーとして人気を集めるSUZUKI Celerio(セレリオ)

現地の若者にファーストカーとして人気を集めるSUZUKI Celerio(セレリオ)

イランの新車市場は90年代の後半より急成長を遂げており、2003年は75万台規模に達し中東最大の自動車生産国となっています。その中で政府は2025年までに自動車生産台数を現在の3倍ほどとなる300万台に増産する計画で、海外の大手自動車メーカーとの協業に期待しています。日本車メーカーで、三菱自動車が現在小規模ながら現地へ輸出を続けている中、制裁解除後はこれを拡大する方針を示しています。国産車は「ホドロー社」と「サイパ社」の2社が国内の94%と圧倒的なシェアを獲得しており、SUZUKIとライセンス契約を結んでいる「ホドロー社」によると、2017年4月下旬以降、SUZUKIの4車種のうち、「Swift」「Dzire」の2車種が8億リヤール(約310万円)で販売され、さらに同年8月下旬には、残りの2車種「Kizashi」が12億リヤール(約465万円)「SX4」は10億6,000万リヤール(約410万円)で販売することを発表しています。

首都テヘランには、外国人の富裕層を凌ぐ豪邸で生活し、数千万円クラスの高級車を運転するイラン人富裕層の姿が見られます。そんな富裕層をターゲットにしたショッピングモールが、高層ビルが建ち並ぶ北部テヘランに続々とオープンしています。2014年にオープンしたショッピングモール「パラーディウム」は10万㎡という広大な敷地に、地下を含む6階建ての約10,000㎡の建物があり、モダンなフィットネスクラブ「パラーディウム」が併設されています。建物の1階は、緻密で繊細な彫り込みが施されているボヘミアングラスの店舗など高級感が漂い、世界中の高級ブランドが入居。2階、3階と階を上がるにつれて、スペインの「PUNT ROMA」やイギリスの「Super Dry Store」、トルコのユニクロと呼ばれている「Lc waikiki」が入り、これらのブランドは比較的低価格で提供されていることから、若者でもショッピングが楽しめる場所になっています。

写真左:ショッピングモールには、モダンな大型のスーパーマーケットも出店
写真右:健康志向の高いテヘランの富裕層が利用するフィットネスクラブ

写真左:きらびやかな内装のショッピングモール 「サームセンター」
写真右:サームセンター内の高級テナント ドイツベルリンのブランドVan Laack

買い物の際にイラン人は必ずといってよいほどスタッフに「どこの国の製品か?」と尋ねます。TVやAV機器だけでなく食器などキッチン用品や日用品、食品、衣類にまで至り、それは市場でもスーパーでも変わることはありません。市場に流通する商品は中国製が圧倒的に多い中、彼らの期待する言葉は「日本製品」。イランでは、高品質の代名詞になっており、「日本製品」は1つのブランドとして、他国の製品よりも一目置かれたステータスシンボルです。

写真左:「グランドバザールテヘラン」は古い造りの伝統的な中近東特有のショピングモールである。絨毯、金、銀製品、時計、生活用品、台所用品、食器類、鞄、文具類、衣類、下着とあらゆるものが販売されている
写真右:スーパーマーケットには、イラン料理のための食料品しか置いていなかったが、近年では少しずつ外国からの輸入品も見られるようになった

写真左:テヘランの秋葉原と呼ばれる「ジォムフリー通り」
写真右:TVやAV機器からスマートフォンまで、あらゆる家電製品をこの通りにある店で購入することが可能

テヘランのトレンドエリアを歩く若者をキャッチ!左側の男性は社会人5年目の銀行員。月収1500万リヤール(約5万円)。将来の夢は独立し、起業したいそうです。最近購入したものは秋物のジャケット。今後欲しいものはmazda3(日本車)。

一方の右側の女性は2015年に大学に入学したばかりの女性です。アーザード大学法律学部一年生。父親から貰う1カ月のお小遣いは毎月300万リヤール(約1万円)。最近購入したものは眼鏡。今後欲しいものは鞄。

中東という場所柄、外国人には生活しづらい印象があるイランですが、「ビザを取得し、いったん入国してしまえば意外と快適に生活できる都市」という声が少なくありません。地下鉄やバスは日本のSuicaのようなチャージ型カード「メトロカード」で乗車することが可能で、駅名や地図には必ず英文が併記されています。「アルコールNG」、「女性はスカーフを被る」など、イスラムの戒律による制約はありますが、それらを除けば感覚的には東ヨーロッパの国々とさほど変わりません。首都テヘランでは、整然と動く地下鉄に乗り、きらびやかなショッピングセンターで買い物をしていると、先進国にいるような感覚になることさえあります。

写真左:通りの名前はペルシャ語の下に英語表記が一般的なスタイルとなっている
写真中央:2002年から開通したテヘランの地下鉄の様子
写真右: 
プリペイド式の「メトロカード」

今やイランにおけるスマートフォンの普及率は欧米や日本に劣らず、2人に1人(約4,000万人)が利用していると言われています。3年前の2013年は200万人だったスマートフォンユーザーが、市場の拡大に伴い、2014年には10倍の2,000万人に急増しました。関連ビジネスを行う企業が増加したことで、25,000~30,000人の雇用が生まれ、課題となっている失業問題にも貢献しています。
インターネットの通信速度に課題はありますが、先進国同様にFacebookやInstagramなどのSNSを利用する人が多く、インターネット上で自分の顔写真を投稿することにためらいは感じられません。Facebookや日本のサイト(Yahoo!Japanなど)は一部アクセス制限があり閲覧できませんが、多くの人が制限を解除するソフトを利用して、アクセスをしています。
また、スマートフォンが普及する前は携帯電話のSMSに送られていた、企業のプロモーションや旅行会社のツアーの斡旋などの情報が、現在ではアプリ(ViberやTelegram/ロシアのメッセージングアプリ)に直接送られるようになるなど、今後もスマートフォンを媒介とした新しいサービスが続々と登場することが予想されます。

写真左:多くの人が使用しているチャットアプリ「Telegram」。写真中央のように、企業広告の配信も一般的である
写真右:YouTubeに似たイラン版の映像サイトもある

フレーバーが豊富なノンアルコールビール

フレーバーが豊富なノンアルコールビールを生産しているのは国産メーカーである「ISTAK」 1瓶約1万2,000リヤール(約40円)。

フレーバーが豊富なノンアルコールビールを生産しているのは国産メーカーである「ISTAK」 1瓶約1万2,000リヤール(約40円)。

以前はシンプルなノンアルコールビールしか選択肢がありませんでしたが、近年は、ガラスびんタイプだけではなく、缶タイプや大きめ1リットルサイズなど、様々な容器でノンアルコールビールが販売されています。フレーバーは、レモンやザクロなど中東らしいフルーツやコーヒーのフレーバーも登場しています。スーパーマーケットやレストラン、ファストフード店で販売されており、日本人がコーラを飲む感覚で、食事の際に飲む他、喉の渇きを潤すために飲まれています。またパーティなど多くの人が集まる場所にも欠かせない存在となっています。

添加物ゼロのローズウォーター

ローズウォーターはさまざまなサイズで販売されている。 1リットル約30,000リヤール(約100円)

ローズウォーターはさまざまなサイズで販売されている。 1リットル約30,000リヤール(約100円)

ローズウォーターは、殺菌作用と保湿効果があり、そのまま化粧水として、顔やボディに使用されていますが、他にも少量をバスタブに入れて、リラックス効果を得たり、アトマイザーやスプレーに入れて部屋のリフレッシュに使用する人もいます。口臭予防にティースプーン一杯を口に含むなど、さまざまな用途で使用されています。

女性に愛され続けるサフランティー

サフランを10分ほど蒸してから飲むスタイルが伝統的な飲み方とされており、ゆっくりとお茶を作る時間も楽しむ

サフランを10分ほど蒸してから飲むスタイルが伝統的な飲み方とされており、ゆっくりとお茶を作る時間も楽しむ

サフランは10月頃に開花する鮮やかな淡紫色の花で、古くからその雌しべを手摘みして乾燥させ食用として広く用いています。一つずつ手摘みした約17万の花からわずか1kgしか採取することが出来ないことから高級品として知られています。古代より貴重な薬草(婦人用薬・鎮痛・鎮静剤)として珍重され、なおかつ「スパイスの女王」(香り・風味、鮮やかな色彩)とされてきました。現在では市販のサフランティー(粉末)が広く流通しており、日常的に楽しまれています。

1)①100円ショップがイランに進出してほしい!

質が高く、品数も豊富な日本の100円ショップ。イランにもぜひ出店してほしい。日本由来の商品であればイラン人も飛びつくはず。

②日本の包丁や爪切りがいい!

特に高品質で長持ちするため、包丁は抗菌加工を施してあるセラミック製の商品が人気となっています。日本製を求めるイラン人にぜひ勧めたいもののひとつです。

③ウォシュレット機能付きトイレの便座!

マンションのトイレ(個室)は和式が一般的で、風呂場に洋式トイレが設置されていますが、多機能の温水洗浄便座のいち早い普及が望まれます。ウォシュレット機能が付いたトイレは海外在住経験のあるイラン人を中心に熱い支持を受けています。

④多機能炊飯器!

日本製の炊飯器はイランでも人気。米を炊く以外にも調理に使用可能な多機能モデルが望まれています。

⑤日本企業にイランの環境汚染問題に一役買ってほしい!

テヘランは、大気汚染による死者が年間4,400人を超えています。鉄道などの普及が間に合わず、大きな通りでは低品質のガソリンで走る旧型の自動車で渋滞しており、排気ガスが深刻な問題となっています。今後は健康志向の高まりから空気清浄機も注目を集めそうです。

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