~TNC研修視察レポート~ 重慶・哈爾浜・西安・昆明 -中国地方都市のいま-

中国 業種: , , , ,  キーワード: , , , , , ,

~TNC研修視察レポート~ 重慶・哈爾浜・西安・昆明 中国地方都市のいま

海外リサーチ、マーケティング、プロモーション、販路開拓など、日本と世界をつなぐ様々な事業を行うTNCでは、毎年社員研修を兼ねて、チームに分かれて世界各地の注目都市に視察に行きます。2019年の舞台は発展著しい中国!今回は初の試みとして、4チームに分かれて同時に中国の地方都市に飛び、それぞれの都市の特徴を肌で感じた上で最後に全員で上海に集合、宴を楽しみながら報告会を開き、地方都市と上海との違いや大国・中国の“いま”を体感するという目的で実施しました。 日々様々なメディアで紹介される中国の事情ですが、大部分が上海や北京、またテクノロジーの発展で注目を集める深センや杭州ではないでしょうか。ただ、もちろんそれらの先端都市だけでなく、中国は巨大です。市場として無限の可能性を秘め、逆に日本が参考にできるような知られざるヒントも多く眠っているでしょう。今回の研修視察では、各メンバーが初めて訪れる都市がほとんどで(あえてチョイス)、大国のリアルな姿を体感し、4つの都市の特徴や可能性をTNC視点で探ってきましたのでぜひご覧ください。

重慶

重慶地図中国に4都市ある直轄市で最大の3200万人という人口規模、10%台で伸び続ける経済、そして大規模な都市インフラ開発を背景に国が推進する「一帯一路」の要衝として注目の重慶を訪ねました。TNCは2012年頃に、あるプロジェクトで重慶と関わりを持ち、その巨大なポテンシャルに圧倒されました。それから7年が経ち、重慶の街、人、暮らしはどのような変化を遂げたのでしょうか?重慶の今を紹介したいと思います。

「解放碑」エリアもすっかり様変わり

「解放碑」エリアもすっかり様変わり

 

POINT 1:変わりゆく重慶

地下鉄の乗車マナーが一変

地下鉄の乗車マナーが一変

重慶のランドマーク「解放碑」や若者エリア「観音橋」周辺の開発はすさまじい勢い。高級ブランドの旗艦店、ショッピングモール、高層オフィスビルやホテルが立ち並び、その隙間を縫うように常に大混雑のグルメ通りや地下街が交差しています。交通インフラもだいぶ整備されており、地下鉄は4路線まで開発が進んでいます。タクシーも街の随所でつかまえることができるようになりました。こうした物理的な変化は想定内だったのですが、今回の視察で感じた大きな変化は人々のファッションセンスとマナー意識です。まず『重慶マジック』と私たちが勝手に名付けた赤や黄色など別々の原色を上下に着る個性的なファッションスタイルが減りました。それに替わって、いわゆるグローバルブランドで身をかためた画一的なファッションが目立ちました。そして、地下鉄の乗車マナーや人気飲食店の順番待ちなども「混沌から整然へ」と言っていいほど重慶市民の意識が変化したことが一番の驚きでした。

 

POINT 2:変わらない重慶

街中に広がる唐辛子と花椒の香り

街中に広がる唐辛子と花椒の香り

一方で変わらない重慶もありました。その代表的なものが火鍋など重慶料理への圧倒的な支持です。ここまで街や人が都市化すれば、それに比例して参入するであろう日本料理(寿司やラーメン含む)、イタリアン、タイやベトナム料理店など海外のレストランがなかなか見つからないのです。もちろん皆無ではありませんが、現地滞在が数日過ぎ、唐辛子や花椒を使った料理以外の食事を探そうとしても選択肢があまり無いことに気づきました。火鍋を中心とした重慶料理以外の料理や海外の食文化への興味・関心が生まれるのはもう少し先のことなのかもしれません。

 

line

スマホ片手に情報を取りながら 買い物を楽しむ若い世代

スマホ片手に情報を取りながら
買い物を楽しむ若い世代

「まさに巨大な孵化装置が動き始めた・・・」と7年前に重慶で身震いしました。その予想通りに街やインフラは驚くほどの発展を遂げています。ただ、上述しているように食の世界はまだまだバリエーション豊かとは言い難い状況です。逆に言えば、そこに未開のビジネスチャンスがあると言えます。流行に敏感な若い世代のファッションセンスはグローバル志向になってきています。こうした次世代に向けてアプローチできる食の企画を考えていきたいと思います。

重慶チーム:村上・小祝

重慶チーム:村上・小祝

 

 

 

 

line

 

哈爾浜

哈爾浜地図現在の中国国土のうち、最も北にある黒竜江省、その省都が哈爾浜(ハルビン)です。亜寒帯気候であり、夜や明け方は気温がなんと-22℃まで下がるほど、寒い場所です。また、かつてはロシア、そして満州国だったという歴史があります。ユダヤ系移民や内モンゴル、朝鮮半島からも移ってきた人々もいるという背景から、さまざまな民族文化が入り混じった、中国でありながら、どこか異国の香りがする街なのではないか、という仮説をもって上陸しました。寒さに恐れをなし、木下、澤村2人ともバックパックの中は防寒グッズでパンパンです。

中国語の横にロシアのキリル文字がある店も

中国語の横にロシアのキリル文字がある店も

 

POINT 1:北部の街、哈爾浜の食

主食として、また、寒さで奪われがちな体力をつけるため、餃子の皮は厚く、一皿あたりの量も多い

主食として、また、寒さで奪われがちな体力をつけるため、餃子の皮は厚く、一皿あたりの量も多い

気候的にコメが育ちにくいため、小麦粉を使った料理が多く、餃子(中国で餃子といえば、だいたい「水餃子」を指します)の専門店が街のいたるところにあります。また、中国の料理をざっくり分けると「東酸・西辣・南甜・北鹹」と言われる通り、北に位置する哈爾浜の料理は鹹(塩からい)で、味が濃く、ビールや白酒がよく合います。外が寒いため、店内でくつろぐ人を多く見かけます。発酵技術も進んでおり、市場には発酵用の葉野菜が並び、寺院などでも白菜などを発酵させている光景を見かけました。料理の味は日本人の口にも合い、実際、豚肉と発酵野菜を入れて煮込む哈爾浜の郷土鍋「酸菜白肉」などを出す店がここ数年で東京や埼玉にもオープンして賑わっています。数回行きましたが、とても美味しいです。中国東北料理は今後日本でも広まっていくかもしれません。

 

POINT 2:東北地方都市の高速鉄道

中国版新幹線の乗り心地は快適

中国版新幹線の乗り心地は快適

広い国土を有する中国には、鉄道が網の目のように張り巡らされ、地方都市同士を結び付けています。今回高速鉄道に乗る機会があったのですが、都市と地方都市の間が縮まり、人と物・情報が瞬く間に広大な国土の中に広がっているということを絶えず満席の電車で感じました。エネルギー資源も豊富にあり、流通コストが安く抑えられるため、中国は移動費・運送費が安く済む国とさえ言われています。哈爾浜は中国東北部の交通の要になっているということから、同じ東北三省の吉林省の長春、遼寧省の瀋陽、隣国ロシアのウラジオストクにも線路がつながっており、頻繁に行きかう新幹線で東北地方全体の経済を活性化させています。

 

————————————————————————————————————–

COLUMN:高速鉄道の駅や車内はこんな感じ

駅では、高速鉄道の切符はスマホの電子マネーでスムーズに購入・発券が可能。空港のように広大な待合室から改札を抜けてホームに降りると、「和諧号」という名称の新幹線がお待ちかね。乗務員が常に(!)車内を往復して販売している商品ももちろんキャッシュレス対応。乗り心地や車内設備も概ね日本と同じで、快適に過ごせました。

————————————————————————————————————–

 

line

有名な氷祭りには、中国中から人が集まる (ちらほらロシア人の姿も!)

有名な氷祭りには、中国中から人が集まる
(ちらほらロシア人の姿も!)

哈爾賓には下写真の氷祭りのように人を集めるコンテンツ力や、独自の食文化があります。そして今後更に人・モノ・情報の流入が進み、発展していき、独自の魅力ある都市になっていくことを感じました。直行便の春秋航空は今年1月から毎日運行、中国東北地方と日本のゲートウェイとなり、食を含めてインバウンド目線でも日本との接点が増えてくると思われます。哈爾浜の今後に注目です。

 

哈爾浜チーム:木下・澤村

哈爾浜チーム:木下・澤村

 

 

 

 

line

 

西安

西安地図中国内陸部、陝西省の省都で、古くは中国古代の諸王朝の都となった長安としても知られる都市・西安。秦の始皇帝の威光を体現した兵馬俑を中心に、中国国内だけでなく世界中から観光客が訪れる古都は現在、重要政策「一帯一路」の内陸の拠点にもなっています。820万の人口を抱える都市は中国国民にとっての観光都市として発展を遂げています。

1384年に建てられ、西安市のシンボルとなっている「鐘楼」は街の中心にあり、 ここから「米」字型に道路が続く

1384年に建てられ、西安市のシンボルとなっている「鐘楼」は街の中心にあり、 ここから「米」字型に道路が続く

 

POINT 1:歴史・文化・宗教が交わる都市

西安の観光名所・兵馬俑。観光客の多くが中国の他の都市から来ている中国人だった

西安の観光名所・兵馬俑。観光客の多くが中国の他の都市から来ている中国人だった

古くから政治の中心地として秦、漢、隋、唐など、王朝の都として2000年以上の歴史を持つ西安。三蔵法師が眠る舎利塔や空海が真言密教を受け継いだ青龍寺があり、中国仏教の重要地点としても知られ、さらに中国最大の回民街(イスラム街)も存在。中国西部と中部経済圏の接点にあたり、北西部から沿岸地域に向かう玄関口という役割も担っており、中国7大ハブ空港の1つ、西安咸陽国際空港や約200本の列車が発着する西安駅を擁する通行の要の場所です。中国全土から観光客が訪れることも想定してか、街は中心地から「米」字形の放射状に整備され、渋滞もそれほどなく、地下鉄の建設も進み、郊外でも高層マンションが次々と建設中でした。また、西北大学や西安交通大学など複数の大学があることから学術都市としても知られており、学生も多く暮らす街です。上海の1号店が日本でも話題を呼んだアリババが手がけるスーパーマーケット「盒馬鮮生」も西安で2018年12月にオープンし、一帯一路の内陸の要として、今後もインフラや住環境の整備がさらに進んでいく、そんな勢いを感じました。

 

POINT 2:豊かな食文化と旺盛な購買意欲

国内外の観光客で賑わう回民街。回教徒の男性は特徴的な帽子を身に着けている

国内外の観光客で賑わう回民街。回教徒の男性は特徴的な帽子を身に着けている

赛格国际购物广场の飲食店の多くに 行列ができていた

赛格国际购物广场の飲食店の多くに 行列ができていた

「美食の都」とも言われる西安。陝西省は小麦の産地としても知られ、ビャンビャン麺や涼皮(リャンピー)、油潑麺(ユーポーメン)をはじめ、さまざまな麺料理があります。また、回教徒(イスラム教徒)が多いことから、回民街では羊肉の串焼きや麻辣味の羊の脚、羊肉を使用した餃子や肉挟馍(ロウジャーモー)といった独自の食が楽しめます。 地下鉄2号線と3号線が乗り入れる「小寨(ショウサイ)」は、学生や若者が集まるエリアとして知られ、駅直結のモール「赛格国际购物广场」は、土日になると多くの人が足を運びます。その中でも飲食店フロアはランチタイムを外しても多くの店で行列しており、台湾や香港料理、タイ料理、スペイン料理などが楽しめる、西安の生活者の旺盛な食欲を満たす場となっています。また、モールに“ただ来る”だけではなく、ブランド物のコスメやファッションを実際に購入している人が多く、西安の若者の購買意欲の高さも印象的でした。

 

line

西安は「観光と学術の都市」という印象を受けました。全土から人々は集まってきますが、それをさばくインフラが整備されています。今後内陸の拠点としてさらに拡大していくことを考えると、発展し続けることは容易に想像できます。 一方で、海外カルチャーとの親和性は薄いと言えそうです。在住日本人も200人程度と少なく、本格的な日本食レストランや日本プロダクトは生活者には馴染みがないようです。消費意欲は旺盛なので、今後、訪日経験のある西安の人々から日本プロダクトが徐々に広まっていくかも知れません。

西安チーム:堀川・濱野

西安チーム:堀川・濱野

 

 

 

 

line

 

昆明

昆明中国西南部に位置する雲南省の省都・昆明市。約680万人の人口を抱え、一年を通して気候に恵まれる高原都市で“春城”の愛称をもちます。雲南省には中国政府が公認する56民族のうち25民族が居住しており、昆明にも様々な民族が暮らしています。また、地理的にも東南アジアと隣接しているため、古くから交流や文化の多様性が育まれています。今後はさらに東南アジアとのゲートウェイ都市として、「一帯一路」構想でも重要な役割を担うといわれています。中国国内でも旅行先や移住先として人気が高く、注目の都市です。ということで、独特の地理的、文化的背景をもつ昆明を初めて訪れて感じた「Kunming Style」をご紹介します。

歩行者天国が続く中心部の巨大商業エリア 百貨店やモールと旧市街が隣接し大勢の人で賑わう

歩行者天国が続く中心部の巨大商業エリア
百貨店やモールと旧市街が隣接し大勢の人で賑わう

 

POINT 1:カルチャーミックスな「Kunming Style」

様々な民族や文化が交わってきた昆明では、至る所で伝統とトレンド、伝統と異文化のカルチャーMIXスタイルが見られました。特に食のシーンは、もともと食材に恵まれる雲南省の伝統食文化と最近のトレンドが巧みに融合しています。

少数民族衣装をまとうスタッフのお母さんに 若者もほっこりするのかも?

少数民族衣装をまとうスタッフのお母さんに 若者もほっこりするのかも?

●例えば、昆明老街(旧市街)では古い街並みを残しつつ、若者向けの多彩な飲食店が軒を並べています。リノベーションしたカフェ風の店内では、伝統衣装に身を包んだお母さんが名物の「米線(ミーシェン)」を提供してくれるのですが、具材や麺の種類はすべて自分好みにカスタマイズ可能。若者が列をなしていて、支払いはもちろんアプリで完結。伝統と若者文化が融合した不思議な感覚でした。

一軒家風のスタイリッシュなカフェに 若者が集う

一軒家風のスタイリッシュなカフェに
若者が集う

●他にも、雲南珈琲や普洱茶(プーアル茶)、バラをはじめとした生花といった雲南特産の素材をスタイリッシュなカフェが巧みにメニュー化していて、珈琲とフルーツを混ぜたカクテルや、エディブルフラワーを飾るお茶メニューなど、インスタ映え間違いなしのメニューが並びます。街中ではタピオカティーやチーズティー、ヴィーガン寿司店、サラダボウルなど、海外のトレンドを柔軟に受け入れ嗜好性にあわせてアレンジした店も多く見受けられます。若者が集まる文化巷エリアではフュージョン和食店もいくつもあり、日本食をはじめ海外の新しい文化を受け入れるセンスと土壌がありそうです

 

POINT 2:スポーツ、健康、 エンタメ市場のポテンシャル

外資有名ブランドから中国ブランドまで 驚くほどスポーツブランド店が軒を連ねている

外資有名ブランドから中国ブランドまで 驚くほどスポーツブランド店が軒を連ねている

“春城”と呼ばれるほど気候に恵まれる昆明では、中心部を歩いていると驚くほどスポーツブランドの店が多いことに気づきます。路面店からモール内店舗まで、半径50メートルにいったいいくつあるのか数えたくなったほど。人々のファッションも基本的にスポーティで、公園は人で賑わい、ダンスやジョギングをしている人も多く見かけます。ただ、アクティビティを楽しむ施設や健康関連サービス、ナイトライフを含めたエンタメ施設はほとんど見かけず、若者に聞いても娯楽はショッピングか飲食が中心。気候に恵まれ、異文化を受け入れる昆明という都市ならではのニーズを捉えた、アクティビティやエンタメ関連の市場に大きなポテンシャルを感じました。

 

line

昆明は気候や食に恵まれ、都市規模も非常にバランスが良いです。何より多様な文化を受け入れる土壌・気質があるように感じました。特に若者の感性や価値観に注目です。東南アジアとのゲートウェイ都市として今後確実にさらなる発展が予も大いにあるでしょう。想されているため、日本の多彩なプロダクトやサービスが受け入れられる可能性も大いにあるでしょう。

昆明チーム:岸本・瀬島・早川

昆明チーム:岸本・瀬島・早川

 

 

 

 

line

 

まとめ:巨大な中国市場は都市・エリア別に把握を

今回の中国地方とし研修視察レポートはいかがでしたでしょうか。ご覧の通り、あらためて中国は巨大で、それぞれの都市で気候も歴史背景も都市政策も人々のライフスタイルも異なります。上海のようなグローバルな大都市だけが中国の姿ではなく、本来は多様性に満ちています。そのリアルな中国という国や市場を実際に体感できる良い機会となりました。 TNCでは引き続き、変わりゆく中国を広い視点で捉え、インバウンド、アウトバウンドともに様々なご相談に対応いたします。ぜひお気軽にお問い合わせください。

各チーム最終日は上海に集合し、地方都市と上海の比較をしながらの新年会

各チーム最終日は上海に集合し、地方都市と上海の比較をしながらの新年会

 

—————————–中国マーケティングメニュー好評です!—————————–

  • ▶ 都市、地方別のライフスタイルリサーチ(沿岸部以外の都市も対応可)
  • ▶ テック系、先端流通系など、最新現地事情体験のための テーマ型オリジナル視察ツアー
  • ▶ 若者を巻き込んだマーケティング、プロモーション施策
  • ▶ 現地向けコンテンツ制作、メディア活用

————————————————————————————————————–

問い合わせはこちら

 

 

TNCのマンスリーレポートは無料のメールマガジンです。

毎月、世界のビジネス情報を無料でお届けするメールマガジン「VOICEjp」、バンコク発の期間メールマガジン「VOICEth」を配信中です。ぜひご登録ください。

メルマガに登録する