人と自然、等身大の暮らしが息づく街 アメリカ・ポートランド

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ポートランドから車で一時間走ればコロンビア川の大自然が広がる。

いまでこそ世界中からクリエイティブな人が集まるポートランドですが、これまでオレゴン州以外の人々から抱かれていたイメージは、社会から逃避したい人や、ヒッピー、パンクスが集まる場所、一年の大半が曇りや雨の街、という地味なものでした。しかし、大自然があるからこそ生まれたアウトドアやスポーツ関連企業の世界的な躍進や、ポートランドに根付くナチュラルで自由なライフスタイルに注目が集まるようになったことで、そのイメージは一転してポジティブなものになりました。自由な暮らしを求める人々の憧れの地となったのです。意気揚々とカリフォルニアやニューヨークへ向かう若者も多いなか、ポートランドには自分のやりたいことを一番に考える人たちが残り、自然に囲まれた街の中でゆったりと自由気ままな生活を送っています。


日本でもすっかりお馴染みのサードウェーブコーヒーや、マイクロブルワリーといった新たなシーンを開拓し、いまでは時代の最先端を行く街になりました。そんなポートランドをこう表現する人もいます。「全米の凝り性、オタクの人たちがポートランドに来て、ビールやコーヒーなどを追求したんだ」この言葉があらわすように、決して利益目的ではなく、そのものに対しての情熱が原動力となったからこそ、自然とクオリティが高く、自由な発想のサービスが生まれてきたのかもしれません。


新たなショップや業態が次々に生まれる背景のひとつに、家賃が他の街に比べて格段に安いため、ビジネスを行う上でのハードルやプレッシャーもさほど高くないという点が挙げられます。実際にショップオーナーの多くが、「ポートランドでなければこういったビジネスの運営はできなかった」と口を揃えます。 ポートランドからニューヨークへ進出したり、海外にショップをオープンする店もあり、新たなビジネスにも挑戦しやすい環境となっています。なかでも「Stumptown Coffee」はサードウェーブコーヒーの先駆けとして新たな潮流を巻き起こしたことで大きな話題になりました。
圧倒的に質の高いクリエイティブで、世界の名だたる有名企業から信頼を寄せられている広告会社「ワイデン・アンド・ケネディ」もまた、ここポートランドを拠点に活動する企業のひとつです。数多くの企業のプロモーションを手掛けていますが、ナイキの“just do it”キャンペーンと言えばピンとくる人も多いのではないでしょうか。勇気を持って新しいことに挑戦し、大いに失敗しろ!というのが同社の方針。まさに今のポートランドムーブメントを象徴する言葉と言えそうです。また、ポートランドには使えるものであればゴミにせず、次の人に使ってもらうという考え方が根付いているため、ユーズド・ショップやスリフト・ショップ(古着や家具・家電などを寄付によって集め、再販し、その収益を慈善活動や寄付に当てる小売形態)が数多くあります。資産を管理する政府に対し不信感を持つ人も多いため、お金でサービスを買うのではなく、「ワークトレード」という形をとる人も多くいます。たとえば、税理士の友人に税金を調整してもらい、その代わりに建築家であるもう一方の友人が家具を作るというようなもの。街ではそのようなサービスの交換が盛んに行われています。

(左)食いしん坊のポートランダー。人気のお店前には行列ができる。/(右)ペンドルトンを使ったオリジナルジャケットを作るアーティスト。

(左)自転車もビールも毎日のように楽しむのがポートランドスタイル/(右)使用できるものはユーズド・ショップやスリフト・ショップでリサイクル

ファーマーズマーケットには多くの人が集まる。

アートが盛んで壁もキャンバスとなる。

もともとポートランドは、アメリカに来た移民達が目指す「ウェスト」と呼ばれる西の最終ゴールでした。時代はゴールドラッシュまで遡り、お金に興味がある人々はオレゴンへの道の途中からカリフォルニアへと急ぎ、お金より自分の土地と暮らしの自由を求める人は険しいオレゴンへの道を歩いたと言われ、その時代に州民の気質が分かれたとも言われています。そのような時代背景により大きな経済とは縁が薄かったことから、お金ではなく、人と人との間にある気持ちで物事が動く、というポートランド独自の流れは生まれました。「儲かるからやろう」なんてかっこ悪い。でも、「環境にいい、人に優しい、発想がおもしろい、新たなチャレンジのため、コミュニティのため・・」そんな理由であれば、いくらでも自らのもつスキルを提供し、力を貸してくれる協力的な人々がポートランドには大勢いるのです。

新しいビルやアパートが増えるダウンタウン。

そうした人と人のつながりが中心となった動きに関心を寄せ、ビジネスの可能性を感じている日本企業も増えています。ポートランドでは日本のプロダクトに対する評価がとても高く、日本に行ってみたいという若者も多くいます。特にクリエイターは日本製のクオリティを理解している人が多く、東京は憧れの場所。それを考えると、日本企業がポートランドの市場で受け入れられる可能性は大きいと言えるでしょう。
近年、ポートランドは急速な発展を続けています。今まではシンプルで慎ましい暮らしを求めて移り住む人が多かったのが、最近では大きな夢を持った人が多く移り住んでいます。それにより、国際レベルのビジネスも動き出し、新しいビルやアパートが建ち始めるなど、町並みもどんどん変わってきています。ポートランドから遠くないサンフランシスコにおいても近年IT産業が盛り上がりをみせていることから、ポートランド経済もさらに成長していくことが考えられます。経済の成長に伴い、ライフスタイルやカルチャーにもどのような変化が見られるのか、今後の動向にますます注目が集まっています。



男性/28歳
最近考えていることは、立ち上げた自分のアパレルブランドのこと。デザインのことや、どう会社を大きくするかを考えています。洋服を通じて「ナチュラルでポジティブなクリエイテビティ」なストーリーを伝えたいです。夢は、完全な自由になること。自由に人を好きになって、意識的に生きることを心がけています。ポートランドは自然豊かで、オーガニックを意識した生活ができます。

 

女性/30歳
他の人が何を考えているのかを、バスで通勤する時に考えます。夢はダイソンの掃除機が買えるようになることと、オーロラが見えるガラスの宿に泊まること。ライフスタイルはゆっくりすごすことがモットー。コーヒーを楽しんだり、犬の散歩をします。ポートランドで好きなところはウェストヒルズの夕焼けと、松の木です。

 

 

 

現地生活者によるポートランドのレポートはいかがでしたでしょうか。ライフスタイル・リサーチャーはこのような注目を集めている地域だけでなく、世界中のあらゆる都市や施設などで商品開発のアイデアや新しいウェブサービス、食のトレンドなどについてリサーチを行います。ご興味のある方はお気軽にコチラまでお問い合わせください。

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