新年特別編集 2013年、世界の兆し。~欧米編~

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みなさま、明けましておめでとうございます。今年も、TNC及びTNCライフスタイルリサーチャーをどうぞよろしくお願いいたします。
さて、新しい年が始まりました。2013年、今年はどんな年になるのでしょうか?EU不況は新たな展望を見出すのか、オバマ再選によってアメリカはどこへ行くのか、そして高成長から減速しはじめた中国の行方は──。そうした大きな動きの陰で、世界では様々なキザシが生まれ、様々なトレンドが生まれています。誰もがあっと驚く開発もあれば、中には些細な事がらが後に大きな潮流へと進化するものもあります。TNCは、それらを確実にキャッチすることこそ重要だと考えています。VOICEjpは欧米編とアジア編2回連載で、2013年を予測する世界の潮流をレポートします。

建設が進むONE WORLD TRADE CENTER(2012年11月撮影)

●アメリカ  マンハッタンが大規模な「街づくり」
2012年は大統領選挙で揺れたアメリカ。圧倒的にオバマ支持が高かったのがNYでした。そしてNYといえば、2013年は大規模な再開発がスタートし、マンハッタンの景観が変貌を始める年でもあります。ウェストサイドのハドソン川沿いにある、元車両基地の26エーカー(10ヘクタール)の広大な敷地が、オフィスビル、ショッピングセンター、高層アパートや学校なども含め、7万人が住み働く新たな街「ハドソン・ヤード」に生まれ変わります。
一方で、貨物列車用の高架線を利用した公園や、マンハッタンを斜めに貫通するブロードウェイの数カ所(タイムズスクエア含め)で車線を一部遮断した公園スペースが生まれるといった動きも出てきています。いずれも公共スペースを大胆に再開発した「街づくり」だと言えます。
そして高層ビルと言えば、ワール ドトレードセンターのランドマーク、ONE WORLD TRADE CENTERが2013年に完成予定。トップの写真は2012年11月建築中のもの。911以降のダウンタウンの復興がついに完結します。常にトレンドを生み出す街、NY。2013年はマンハッタンの大規模な「街づくり」に注目です。

●イギリス 新しいエコパークを目指すロンドン五輪会場
史上もっともエコな大会をめざしたと言われるロンドン五輪。リサイクルの資材や自然・再生エネルギーを活用し、屋根にたまった雨水をトイレや植物に利用するなど、様々な工夫が見受けられました。
そして、開会式のちょうど一年後、2013年7月27日に、五輪会場は欧州最大級の都市公園、クイーンエリザベス・オリンピックパークとして再オープンします。緑をふんだんに取り入れ、自然とエコが共存する公園という側面を持つ一方で、北西にはテクノロジーやデザインの最先端を行く「iCITY」がオープンする予定です。
過去の会場は、有効活用されなかったケースも少なくありません。これらの失敗を繰り返さない為、「The Olympic Park Legacy(オリンピックの遺産)Company (OPLC)」という組織を立ち上げ、オリンピックパークの有効な再利用を目指しています。

左から、建設中のクイーンエリザベス・オリンピックパーク
/「iCITY」完成イメージ

●フランス 屋外エクササイズに注目
長引くEU不況のまっただ中にいるフランス。屋外で体を動かせば、気持ちも晴れて、前向きなエネルギーを得ることができる──そんな理由にも後押しされ、人気を集めているのが「屋外エクササイズ」です。ひとつは、「Sightseeing(サイトシーイング)」ならぬ「Sightjogging(サイトジョギング)」。フランスは世界遺産や歴史的建造物が多い国ですが、歴史的建造物巡りのルートをジョギングのコースにするというのが人気を集めています。日照時間の短い冬を楽しく過ごすという意味合いもあります。もうひとつは「青空ジム」。ジムやフィットネスセンターといえば、室内ですが、室内では開放感を味わえず満足できない人のために、屋外に持ち運びできて、好きな場所に設置できるウォーキングマシーンが登場し、注目を集めています。日本でもジョギング・ブームが続いていますが、「屋外エクササイズ」という視点で考えると次のトレンドが見えてくるかも知れません。

左から、Sightjoggingの様子
/屋外にも持ち運びできるウォーキングマシーン

●ブラジル プロが仕掛ける伝統食を見直す運動
次回のオリンピック開催国として期待が高まるブラジル。最近、ブラジルで目立ってきているのが「伝統的な食文化を見直そう」という運動です。
ポルトガルの植民地として国が生まれ、原住民のインディオ、ヨーロッパ移民、アフリカの奴隷・・多様な文化が混在するブラジル。米食文化や国民食のフェイジョン、料理に欠かせない食材キャッサバなどは、数世代にわたってフュージョンされ出来上がった食文化です。しかし、1990年に貿易が自由化され、外資系のハンバーガーなどの飲食チェーンやスーパーマーケットが大量に進出し、今の若者たちはブラジルの伝統食材にあまり親しんでいません。これでは本来のブラジルの食文化が継承されない・・・と立ち上がったのが、料理人など、食に関わるプロたち。ブラジル伝統食材の品評会や、それらを作る職人にスポットを当てる活動が昨今盛り上がりを見せています。かつてスローフードなどで注目されたイタリアに似た動きですが、モザイクな国民性の中での運動がどんな風に展開されるのか興味が集まっています。

左から、ケイジョ・ミナス(ミナス・ジェライス州のチーズ)の品評会
/ミナス・ジェライス州の手作りチーズ職人

イスタンブールとアンカラを結ぶ超特急列車

●トルコ 交通維新が消費や文化を変える
トルコ国鉄が2023年を目処に25,000kmの鉄道網を敷設することを目標にした一大プロジェクトの一環として、2013年、現在8時間かかっているイスタンブールと首都のアンカラ間が超特急列車で3時間に短縮されます。イスタンブールとアンカラというトルコの2大都市に住む人々の行き来が急増し、実に年間1,700万人を運ぶと予測されています。
これにより、富裕層向けのショッピングエリアが多いイスタンブールに、政治の街アンカラから公務員などの中流層が訪れ、彼らを対象にした商業空間が増えることが予想されます。アンカラは、文化人やインテリ層の多く住む街です。イスタンブールに新しい文化をもたらしてくれる可能性もありそうです。また2013年は、日本のJICAプロジェクトによって実現したボスポラス海峡地下トンネル鉄道プロジェクトが完了します。アジア側とヨーロッパ側に分断されていた大陸は、ついに鉄道でつながります。2020年のオリンピック招致ではライバルのトルコですが、今年はさらに大きな経済発展を遂げる年になりそうです。

様々な情報の中から、街づくり、エコ、ライフスタイル、食生活などを取り上げてみました。とかくトレンドは、どこかの国で生まれたものがカタチを変えて、別の国で大きな潮流になっていることがあります。来年、再びこの特集をしたら、「あれ?」どこかで聞いた話だと思うかも知れません。さて、次回は躍動のアジア編です。ぜひお楽しみに。
最後に、今年一年が世界にとってよい一年となりますように──。

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