~シリーズ 世界のライフスタイル~ 注目のアメリカ・フードトレンド~from Fancy Food Show 2018 ~

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注目のアメリカ・フードトレンド ~from Fancy Food Show 2018 ~

米国最大級となる高級食品見本市「Winter Fancy Food Show 2018(以下WFFS)」が、1月21日から23日の3日間にわたりサンフランシスコのモスコーニセンターで開催されました。今年で43回目を数える同イベントは、25カ国から1,400の企業(うち350がカリフォルニア州の食品企業)や団体が出展、約90,000もの商品が大会場に展示され、飲食関係者からバイヤー、一般客まで約33,000人の来場者で終日賑わいを見せていました。

今回VOICEjpでは、世界各地の食の潮流を常にウォッチしているTNCの視点で、この見本市から2018年注目の食トレンドをリポートします。

【調味料】オリジナルのフルーツ入りソースに注目

米国のスーパーで最も客が足を止めるのがソース売場です。クリーンで丁寧に作られた高品質なソースが料理の味を決めるとして、こだわりを持つメーカーの商品に関心が集まっています。今回の見本市でも興味深いソースが出展されていました。

ソースの材料として重宝されるフルーツ

スイーツの他料理にも重宝するフルーツカードとジャム

スイーツの他料理にも重宝するフルーツカードとジャム

ローカル&スモールバッチがコンセプトのオレゴンのメーカー「Paradigm Foodworks」は、ヒット商品であるフルーツカード(フルーツの果汁や果皮を卵黄や砂糖とともに煮詰めて作るスプレッド)とジャムシリーズを展示。「マリオンベリー」という、オレゴン州で作られるブラックベリーの品種のソースも揃えています。

 

オリーブオイルにフルーツを入れ、数々の賞を獲得

またサンフランシスコの北西に位置し、ブドウやワイン、更にオリーブの産地として知られているソノマ地区のメーカー「O Olive oil」は、オリーブオイルやビネガーを製造。マイヤーレモンやブラッドオレンジ、タヒチライムのオリーブオイルや、ワイン用のブドウであるカベルネソーヴィニヨングレープやアップルサイダーのビネガーといった、素材にこだわったフルーツ調味料を製造し、WFFSの運営団体から贈られる賞をはじめ数々の賞を受賞しています。

フルーツ入りのオリーブオイルが高評価

フルーツ入りのオリーブオイルが高評価

 

 

【調味料】新たな食材を使用したサラダ用調味料

世界的なベジタリアン、ヴィーガン人口の増加により、野菜を安心して美味しく食べられるアイテムのニーズが高まっています。

注目のヘルシーオイル「アボカドオイル」

近年トレンドフードとして取り上げられているアボカドオイルをベースにしたマヨネーズ

近年トレンドフードとして取り上げられているアボカドオイルをベースにしたマヨネーズ

ここ数年のトレンド食材として扱われているアボカドオイルのヒットで市場を広げている「Chosen Foods」は、新商品の「Avcado oil Mayo」シリーズでトラディショナル、ワサビ、ブラックガーリックといったフレーバーを揃え、現在米国、カナダ、メキシコで30,000店舗以上で販売されています。

ヨーグルトベースのマイルドなドレッシング

ヨーグルトベースのマイルドなドレッシング

 

ヨーグルトを使ったドレッシング

ドイツのドレッシングメーカー「Kiihne」のブースでは、ヨーグルトを主原料とするドレッシング「Real Yogurt」シリーズを展開、マイルドでライトな食感が好評を得ていました。

 

 

 

 

 

 

蒟蒻屋本舗の「マヨールゼロプラス」は、iTQi(国際味覚審査機構)優秀味覚賞を3年連続獲得している革新的なジャパニーズマヨネース。

蒟蒻屋本舗の「マヨールゼロプラス」は、iTQi(国際味覚審査機構)優秀味覚賞を3年連続獲得している革新的なジャパニーズマヨネース。

卵不使用のジャパニーズマヨネーズが登場

また日本からは「蒟蒻屋本舗」から「マヨールゼロプラス」が卵不使用、こんにゃくや大豆を使った技術で注目を集めていました。

 

 

 

 

 

 

 

 

ティー業界にまで広がるコールドブリュー旋風

WFFSを主催するNational Specialty Food Associationによると、米国における水、ジュース、機能性飲料、紅茶・コーヒーRTDといった飲料の売上高は2016年に総額105億ドルとなり、小売市場全体の約18%に相当し、2014年から2016年にかけての成長率は24%と大きな伸びを見せています。食品の中でも重要なアイテムとなっているドリンク市場において、今年見られたトレンドを紹介します。

ティー業界でいち早くコールドブリューを導入した「ITOEN」

米国のスーパーやオフィスでシェア拡大中の「ITOEN」もいち早くコールドブリューに着手

米国のスーパーやオフィスでシェア拡大中の「ITOEN」もいち早くコールドブリューに着手

今や飲料業界を席巻しているのが「コールドブリュー(水出し)」です。流行の兆しが出たのは5年以上も前ですが、今では多くのコーヒーメーカーが参入しており、米国のスーパーの売場はコールドブリューコーヒーの激戦区になっています。そしてコールドブリューはティー領域にも広がっており、そのシェアを獲得しているのが、いち早く海外に進出した日本の「ITOEN」です。氷に葉を浸して抽出するという独自の「アイスステップド」という製法により、アミノ酸が多くカフェインの少ない、よりまろやかでクリーンな味わいが楽しめるというものです。

 

スタートアップならではの新技術を採用

クールなボトルが印象的な「Fogdog」はスタートアップ企業ならではの新技術を採用

クールなボトルが印象的な「Fogdog」はスタートアップ企業ならではの新技術を採用

またコーヒーとティーの両方を扱うコールドブリューメーカー「Fogdog」は、ドリンクらしからぬスマートなデザインのボトルが目を引く商品を発売。サンフランシスコのスタートアップ企業らしく、生の素材を最大限に引き出すため、「ハイドロダイナミクス・プロセス」と呼ばれる、温度を38F(約3.33℃)に保ちながら抽出する方法を採用。コールドブリューティーとしては、ウーロン茶とハイビスカスやオレンジピールなどをブレンドした「SCARLET RED」の2種類を展開中です。

 

「紅茶は温かいに限る」イギリスでもついにコールドブリュー用ティーバッグが発売

ロンドンの紅茶メーカー「AHMAD TEA」からも、コールドブリューティー用ティーバッグが発売。「お茶は温かいもの」という考えが浸透しているイギリスでは画期的な商品となっており、「イングリッシュティー」「ピーチ&パッション」「レモン&ライム」の3フレーバーを展開しています。

 

 

【飲料】フレーバーウォーター&ドリンキングビネガー

コーラの代用として、よりヘルシーなフレーバーウォーター/インフューズドウォーターが米国で大ヒット中です。またドリンキングビネガーも市場を拡大。「酢を飲む」というコンセプトは、コンブチャなどの発酵食品がブームとなっている米国では抵抗感は見られず、むしろ多くの人々の関心を集めていました。ヘルシー文脈に訴える商品であり、今後の市場拡大が予測されます。

自然素材で香りづけしたフレーバーウォーター

シリコンバレーのベンチャー企業「Hint」は、オフィスドリンクの市場獲得でブレーク

シリコンバレーのベンチャー企業「Hint」は、オフィスドリンクの市場獲得でブレーク

シリコンバレーのベンチャー企業の成功例として挙げられるのが「hint water」で、自然素材の果物や野菜で香りづけしたゼロカロリーのナチュラルフレーバーウォーターを発売しました。スイカ、パイナップル、チェリー、ブラックベリーといったフレーバーが揃い、人工の香料や甘味料、保存料、GMO素材は一切使用していない安全性の高いドリンクとなっています。自宅のキッチンでフルーツを水に浸けたことからブランドを立ち上げたというCEOのカーラ・コールディン氏は、“水の女王”として2017年に経済誌「Forbes」で「最も影響力がある女性起業家40」の一人に選ばれています。

 

ポストコンブチャになるか?飲みやすいフルーツinビネガー

炭酸水と割るだけで"飲むビネガー"が作れるエッセンス

炭酸水と割るだけで”飲むビネガー”が作れるエッセンス

フレーバーウォーター人気の流れを受け、イタリアの有名オイル&ビネガーメーカーの「OLITALIA」からは、ザクロやチェリーといったフルーツを濃縮し、抽出したビネガーが登場しました。水や炭酸水を加えて「ドリンクビネガー(飲むビネガー)」が作れるというエッセンスで、濃度や炭酸の有無を調節できるという点も好評でした。

またカクテルメーカーの「Crafted Company」は、RTDの「スパークリング・ドリンキングビネガー」をこの見本市で発表。ブラックベリー、ストロベリー、ジンジャーの3フレーバーで展開予定です。

 

 

 

【飲料】モーニングドリンクはコーヒーからスープへ

米国で朝一番に飲むものといえばコーヒーが定番でしたが、最近は健康志向から栄養補給ができるスープを飲む人が増えています。

高栄養価なスープが朝飲むドリンクに

4、5年前にNYの「brodo」で火がついた「ボーンブロス(食肉の骨からとった出汁)」はコラーゲン、アミノ酸、ミネラルが豊富な「飲むUMAMI美容液」として瞬く間に全米、そしてヨーロッパにも広がっています。温めるだけのパウチ入りレトルトはもちろん、紙コップにプラスチックの蓋といった、コーヒーショップと同じような形でも提供されています。日本の「ミソスープ(味噌汁)」や、スペインの冷製スープ「ガスパチョ」もドリンクとして飲まれるようになっており、RTDやインスタント商品も増えています。

アジア食品の人気メーカー「Nona Lim」はサンフランシスコ近郊のオークランドを拠点とするスタートアップ企業で、非GMO、デイリーフリー、グルテンフリー、そしてローカル、オーガニックの食材にこだわったスープやヌードルを販売。ラインナップは「ベトナムのフォーのブロス」「タイカレー&ライムのブロス」「ミソラーメンのブロス」など、代表的なアジア料理をモチーフにしたものが揃っています。

(左)ブロスを使ったクリーンなアジア料理を提案する「Nona Lim」 (右)チューブ式でお湯を注ぐだけの「Miso & Easy」は米国ならではの商品

(左)ブロスを使ったクリーンなアジア料理を提案する「Nona Lim」
(右)チューブ式でお湯を注ぐだけの「Miso & Easy」は米国ならではの商品

 

 

【スーパーフード】注目のネクスト・スーパーフード「モリンガ」

今回のWFFSで最も注目されていたスーパーフードといえば、モリンガです。インド原産で、アフリカやアジアの亜熱帯地域で栽培され、葉から花、茎、種まで食べられるという植物です。味はヨモギに近いと言われ、ビタミン、ミネラル、プロテインが豊富で「ミラクルツリー(奇跡の木)」とも呼ばれています。

ケロッグが投資したモリンガブランド

栄養価の高い「ミラクルツリー」と呼ばれるモリンガ

栄養価の高い「ミラクルツリー」と呼ばれるモリンガ

まずケロッグが投資したことで話題になったのが、モリンガを使ったティーやパウダー、RTD、バーを発売しているモリンガ食品メーカー「kuli kuli」です。モリンガの葉はケールより栄養価が高いとし、飲み物や食事に手軽に加えることができる便利さもアピールしています。

今後幅広い食品に使用されると予測

今後幅広い食品に使用されると予測

 

バーやスナックにも使用されているモリンガ

また「The Republic of Tea」や「MIRACLE TREE」からもモリンガティーが、そしてヘルシースナックメーカーの「VEGAN ROB’S」からは、モリンガ原料のスナック「Moringa Puffs」が発売され、メディアでも多数取り上げられていました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【Japan Pavillon】日本発「USDAオーガニック商品」

日本のメーカーも存在を存分にアピールしていました。JETROが支援する「Japan Pavillion」では、43団体が出展し、米国の市場拡大を目指すクラフトビール、オーガニック緑茶、柚子製品、米粉製品(グルテンフリー麺)などを出品。今年特に目立ったのは、日本製のUSDAオーガニック商品の拡大です。2013年にUSDA(米国オーガニック認証)と有機JAS(日本におけるオーガニック認証)が合意したことで、商品開発は年々進んでいます。「Organic Trade Association」の統計によると、2017年度の米国のオーガニック市場は460億ドル(約5兆円)であり、これに対して日本はまだ1,400億円にすぎません(農水省2016年統計より)。そこでオーガニック食品への理解がまだ薄い日本よりも、米国での市場拡大を狙う食品メーカーが集まりました。

(左)「Japan Pavillion」では、オーガニック緑茶、柚子製品、グルテンフリー麺などの米粉製品に人気が集まった (右)米国では、2011年から2016年までの5年間でクラフトビール市場が年平均20.1%の急成長を遂げている(JETRO調べ)

(左)「Japan Pavillion」では、オーガニック緑茶、柚子製品、グルテンフリー麺などの米粉製品に人気が集まった
(右)米国では、2011年から2016年までの5年間でクラフトビール市場が年平均20.1%の急成長を遂げている(JETRO調べ)

(左)「Morinyu USA」 はグルテンフリーである豆腐をアピール。オーガニック商品も増やしている (右)全国、海外からローカルの"うまいもの"を取り扱う「サンクゼール」。クリーンな商品も多い

(左)「Morinyu USA」 はグルテンフリーである豆腐をアピール。オーガニック商品も増やしている
(右)全国、海外からローカルの”うまいもの”を取り扱う「サンクゼール」。クリーンな商品も多い

 

 

 

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Winter Fancy Food Show 2018視察所感

オーガニックフード発祥の地であり、サステイナブル文化が息づくサンフランシスコは、IT企業が集まるシリコンバレーにほど近く、米国、そして世界のフードトレンドの発信基地として重要な役割を果たしています。

今回のWFFSでは、数年前から続く食における健康志向の流れの派生として、ベジ・ヴィーガンを意識した商品や素材そのものを生かしたアイデア、また新しい素材やスーパーフードを積極的に採用する企業が目立ちました。質の高いプロダクトを実現するためのテクノロジーも、今後のフードトレンドを牽引するにあたって欠かせない要素となっています。

新しいアイデアやテクノロジーを導入しつつも、クリーンで高品質な食が受け入れられてきていると実感した見本市でした。


TNCではトレンドの発信拠点となる各国の見本市取材をはじめ、毎月世界各国の食トレンド情報を収集・分析し、レポートするフードマーケティングマガジン「FOODIAL(フーディアル)」の発行、また企業様向けに食の勉強会・セミナーを実施しております。ご興味のある方はこちらからお問い合わせください。

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