~シリーズ 世界のライフスタイル~ 新経済体制下のサウジアラビア市場 
グローバル化が進むジェッダの今

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新経済体制下のサウジアラビア市場
グローバル化が進むジェッダの今

1970年代の石油価格上昇以来、石油輸出一辺倒で急速な発展を遂げてきたサウジアラビアに大きな変化が訪れています。石油依存体制からの脱却への取り組みが遂に本格的に動き出したのです。2016年に政府が発表した経済多様化政策「サウジ・ビジョン2030」には、プライベートセクターの活性化、外国投資の誘致促進、ツーリズム開放、アジア・アフリカ・ヨーロッパの貿易ハブとなることなどが宣言され、その動きが街の中にも現れてきました。2020年には、アラブ諸国で初となるG20サミットの議長国となることも決まり注目を集めています。そんなサウジアラビアの主要都市であり、聖地メッカとメディーナの入口として毎年2,000万人近い巡礼客を迎えるジェッダの今をライフスタイル・リサーチャーがレポートします。

 

●多様化が進むサウジアラビア市場

高級ブランドショップや飲食店が並ぶ新しいショッピングモール「Le Prestige Mall」内の様子

高級ブランドショップや飲食店が並ぶ新しいショッピングモール「Le Prestige Mall」内の様子

サウジアラビアは現在約人口約3,400万人、うち45%程が25歳未満で、55歳以上が8%というとても若い市場で、高い購買力があります。街中には高級ブランド店が並ぶショッピングモールが新たに建設される一方で、20代・30代の若者を対象としたカジュアルブランドの店も賑わいを見せています。長い間伝統衣装である“アバヤ”をまとう習慣を持ってきたサウジアラビアの女性たちも、実は美意識が高く、華やかなファッションを好みショッピングを楽しんでいます。今後政府は、国内・国外からのビジネス受入環境の改善を進め、特に中小企業のサポート、海外直接投資の促進を強める計画です。2019年5月には一部外国人に対して、永住、不動産所有や資産投資、商売取引や雇用を可能にすることが決議され、より国際的でダイナミックな市場に成長することが期待されています。

●新幹線開通で変わるジェッダ近隣の交通インフラ

2018年9月に中東で最大の鉄道プロジェクト、メッカとメディーナ間を繋ぐ「ハラメイン鉄道」が開通しました。およそ450キロを繋ぐスペイン製の新幹線で、最大時速300キロで走ります。途中、ジェッダ市内、ジェッダの国際空港、近隣のニューシティであるカエック市を経由します。メッカとメディーナ間のチケットは、エコノミークラスで約4,500円、ビジネスクラスで7,500円でウェブから購入可能。これまで車で約10時間かかっていたところを、1時間50分での移動が可能になり、巡礼客のスムーズな移動はもちろん、ビジネスの活性化に繋がると期待されています。また、サウジアラビア人を多く起用しており、雇用問題にも貢献しています。

「ハラメイン鉄道」の新幹線。経由する5つの駅はそれぞれ空港を思わせる様な壮大な造りです

「ハラメイン鉄道」の新幹線。経由する5つの駅はそれぞれ空港を思わせる様な壮大な造りです

 

●加速するジェッダの近代化

ジェッダは紅海に沿った海辺の街で、サウジアラビアの他の都市に比べても開けた印象を持っています。街中の交差点には彫刻が無数に存在し、“野外彫刻美術館”とも呼ばれています。そんなジェッダの近代化が、2018年頃からさらに飛躍し始めました。海岸沿いが大整備され、近代的な遊具の数々やエクササイズ器具の他、公共ビーチにシャワールーム、Wi-FiやUSB充電ポートも設置されました。また、女性が運転する姿を見ることは日常化し、ドレスコードにも大きな変化の兆しが見受けられます。さらに、初の映画館のオープン、マライア・キャリーをはじめとする有名歌手のコンサート開催(カエック市にて)、イタリアンスーパーカップの誘致、世界的スター選手を招いてのテニス試合の開催など、歴史的なイベントが目白押しの年となりました。レストランで音楽が流れるのが日常化したのも最近の変化です。一方で、5%消費税の導入や、電気代・ガソリン代の値上げ、外国人に対する扶養税の導入、サウダイゼーション(サウジ人雇用への切替)など、財政収入源の変化推進も顕著に見られます。

(左)整備後の海岸沿い(コロネーシュ)の一部。週末は夕暮れ時から夜中まで大人も子供も大賑わいです。ピクニック形式であちこちに座り、アラブティーなどを楽しんでいます (右)ジェッダで有名な情報誌の2019年5月号表紙。女性のドレスコードの変化の先駆けとなるとして話題になっています。ロールモデルとなる女性たちを取上げた特集も組まれています

(左)整備後の海岸沿い(コロネーシュ)の一部。週末は夕暮れ時から夜中まで大人も子供も大賑わいです。ピクニック形式であちこちに座り、アラブティーなどを楽しんでいます
(右)ジェッダで有名な情報誌の2019年5月号表紙。女性のドレスコードの変化の先駆けとなるとして話題になっています。ロールモデルとなる女性たちを取上げた特集も組まれています

 (左)近年、おしゃれなカフェが増え、夜になると社交の場を求める若者で大混雑です。写真は順番待ちで列を成す様子 (右)市内に数百と点在する彫刻の一例。その他、人体、幾何学、乗り物、イスラミックをテーマにしたものが多く見られます


(左)近年、おしゃれなカフェが増え、夜になると社交の場を求める若者で大混雑です。写真は順番待ちで列を成す様子
(右)市内に数百と点在する彫刻の一例。その他、人体、幾何学、乗り物、イスラミックをテーマにしたものが多く見られます

 

●進化するサウジアラビアのオンラインショッピングサイトのプラットフォーム

これまでサウジアラビアではオンラインショッピングの浸透率が低く、ショッピングモールやストリートショップ、マーケットなど実店舗での買い物が日常でした。しかし、サウジアラビアの若者はSNSを多く利用し、ITリテラシーが高いこともあり、ここ数年の企業間買収などの大きな動きを経て拡大すると見込まれています。とりわけ、サウジアラビアでほぼ単独のショッピングサイトであった「souq.com」が、2017年にアマゾンに買収されたことで、海外商品へのアクセスが容易になりました。また、同年、ドバイの資産家が新たなショッピングサイト「noon.com」をローンチし、サウジアラビア市場にも参出。「noon.com」の良質なサービスが好評で徐々に知名度を上げています。この2社によって競争が生まれることで、ロジスティックや決済プロセスがより整備されていくことが期待されています。その他、スーパーマーケットをはじめ、オンラインショッピングを提供する店舗もここ数年で飛躍的に増えています。

勢いを見せる2大オンラインショッピングサイトのプラットフォーム

勢いを見せる2大オンラインショッピングサイトのプラットフォーム

人気ハイパーマーケットもオンラインデリバリーが可能に。オーガニックコーナーが近年拡大しています

人気ハイパーマーケットもオンラインデリバリーが可能に。オーガニックコーナーが近年拡大しています

「スーク」と呼ばれる、小さいお店が並ぶマーケットも健在です

「スーク」と呼ばれる、小さいお店が並ぶマーケットも健在です

 

ジェッダトレンドエリアで若者スナップ

カジュアルから高級なファッションまで、路面店が立ち並ぶトレンドエリア「タハリーヤ」を歩く若者をキャッチ!ジェッダの生活者はどのようなライフスタイルを送っているのでしょうか。

ジェッダトレンドエリアで若者スナップ

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●デジタル化で図る「ハッジ」客へのサービス向上

聖地メッカを特定期間に巡礼する「ハッジ」は、イスラムにおいて一生に一度は行うべきとされており、特定の5日間に2万から3万人もの巡礼客がジェッダの国際空港からメッカに向かい、メッカ内を移動します。これに年間を通して行われる小巡業の「ウムラ」を合わせると、メッカ巡礼者のトータル数は国内外含め年間2,000万人近くに登ります。政府は、巡礼客の国内循環を促し経済効果をさらに高める狙いもあり、2025年までに年間3,000万人まで許容枠を広げる計画です。しかし、特にハッジ期間中には、過度な混雑と混乱が起因して死亡事故に至るケースも稀ではなく、飲食、交通手段、宿泊手配、混雑整備及び交通量の制御、ゴミ処理、コミュニケーションなど、多岐に渡る分野で課題が残されています。その解決策としてデジタル化の流れが勢いを見せており、2018年に行われた「ハッジ・ハッカソン」(ハッカソンとは、ハックとマラソンを組み合わせた造語。エンジニアやクリエイターが集まり、一定期間内に共同開発を行うイベント)はそうした課題解決を念頭に開催されました。世界中の頭脳・イノベーションに期待を寄せる36時間のサイバーキャンプで、100カ国以上2,980人が参加し過去最大のハッカソンとなりました。上位3チームに対し総額5,500万円以上もの賞金が用意され、ネット環境無しでアラビア語のサインを各言語に翻訳できるアプリを開発したサウジ人女性チームが優勝し話題となりました。

小巡礼「ウムラ」の様子。大巡礼「ハッジ」期間は隙間が見えない程の混雑に

小巡礼「ウムラ」の様子。大巡礼「ハッジ」期間は隙間が見えない程の混雑に

世界最大規模となった「ハッジ・ハッカソン」開催当日の様子

世界最大規模となった「ハッジ・ハッカソン」開催当日の様子

 

●大きな魅力を秘めたサウジアラビアのツーリズム

サウジアラビアはこれまで積極的に観光開発をしていなかったため、全貌はあまり知られていませんが、王国設立以前からの長い歴史と5つのユネスコ世界遺産、手付かずの島々や3,000メートル級の山々を有し、観光客を魅了する要素にあふれています。例えば、ユネスコ遺産の一つである古代都市マダインサーレハは、装飾された墓石群を特徴とし、その壮大な遺跡はヨルダンのペトラに匹敵すると言われています。また、ジェッダの旧市街地もユネスコ遺産の一つで、ユニークな建築を特徴とし、メッカへの玄関口そしてインド洋の主要な港として栄えてきた歴史を感じることができます。今後は、世界最大のイスラミックミュージアムの建設やユネスコ登録の世界遺産を2倍の数にすることなどが計画されている他、「ビジョン2030」には80を超えるメガプロジェクトが謳われており、超近代都市、世界最大のエンターテイメント都市、島々からなるリゾートエリアなどの建設が実際に始まっています。今のところ特別なイベント開催時に限られますが、観光ビザの利用が可能になり、近い将来一般化することが期待されています。

(左)ユネスコ遺産ジェッダ旧市街の建築例 (右)ユネスコ遺産マダインサーレハの遺跡例

(左)ユネスコ遺産ジェッダ旧市街の建築例
(右)ユネスコ遺産マダインサーレハの遺跡例

メガプロジェクトの1つ「レッドシープロジェクト」(紅海にある島々のリゾート化計画)のイメージ例

メガプロジェクトの1つ「レッドシープロジェクト」(紅海にある島々のリゾート化計画)のイメージ例

 

サウジアラビアから日本へ紹介したいアイテム!

タイーフ地区で生産された「GHAWALI」のローズオイル。この商品は6ミリリットル約6,500円で販売

タイーフ地区で生産された「GHAWALI」のローズオイル。この商品は6ミリリットル約6,500円で販売

● 超高級ローズオイル

16世紀以降オスマン帝国の支配下時代に、支配者によってトルコから持ち込まれたバラから作られたと言われるオイル。その後、香りがとても強く、起源であるトルコのものより良質として人気となりました。中でもタイーフという町の天候がバラの栽培に最適とされます。ローズオイルは、12時間の蒸留を経て生産され、1ボトルに対して15,000本ものバラを必要とするため、高級品として富裕層に好まれています。

 

 

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デーツと6種類のトッピングの「Bateel」アソートメント。サウジアラビアのオーガニックデーツを使用する「Bateel」は特に確立されたブランドでギフトとして選ばれることが多く、関連のカフェも人気

デーツと6種類のトッピングの「Bateel」アソートメント。サウジアラビアのオーガニックデーツを使用する「Bateel」は特に確立されたブランドでギフトとして選ばれることが多く、関連のカフェも人気

● デーツの高級アソートメント

デーツ(ナツメヤシの実)には1粒の実に多くのミネラルや食物繊維が含まれ、“恵みの果実”とも呼ばれています。サウジアラビアはエジプト、イランとともに世界でも有数の生産量を誇り、デーツは、アラブの人々にとって、エネルギー補給源として欠かせない日常食です。そんなデーツに、食感の良いピスタチオやピーナッツ、オレンジの皮などを挟み、美しい箱に詰めてエレガントに仕上げた商品が人気です。店内には、ビスケットやチョコレートと組合せたお菓子なども並んでいます。

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「Rutana Jewely」は自分の名前や希望の文字をカスタムメイドでオーダーする人が多く、外国人の間でも話題となっている

「Rutana Jewely」は自分の名前や希望の文字をカスタムメイドでオーダーする人が多く、外国人の間でも話題となっている

● 国籍を超え大人気 アラビア語ジュエリー

アラビア語をモチーフに、宝石と組み合わせた繊細なデザインのジュエリーが人気です。エレガントなスタイルに敏感なサウジアラビアの女性によってデザインされたものに人気が集まっています。

 

 

 

 


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人気コーナー かも〜ん 日本からの進出!

● 日本食材のスーパーフード!

ジェッダのオーガニックフードショップでは、スーパーフードとして日本食コーナーが設けられ、梅干やワカメなどが並べられています。スリムな日本人の食生活の秘訣として、サウジアラビアでの健康意識の高まりに寄与しそうです。

● マッサージ機!

屋内で過ごす時間の多いサウジアラビア人。本格的なマッサージチェアをはじめ、より安価に手に入る小型マッサージマシーンや足揉み機などが喜ばれそうです。日本式を謳った足ツボマッサージの健康サンダルも登場しています。

● 良質な生活雑貨!

良質で機能的な商品が少なく、例えばスポンジは、日本の製品は1年間は使用可能なのに対し、サウジアラビアのものは1ヶ月もしないうちにボロボロになります。その他、収納アイテムや文房具等、細かく考えられた「痒い所に手が届く」商品は驚きをもって喜ばれそうです。2018年には「MUJI」が、2019年4月には中国系の「MINISO」がオープンし人気を集めています。


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