~シリーズ 世界のライフスタイル~ 多様性のシナジーで魅力度急騰! 米ミレニアルズを惹きつける最旬都市 テキサス州 オースティン

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多様性のシナジーで魅力度急騰! 米ミレニアルズを惹きつける最旬都市 テキサス州 オースティン

世界各国のトレンドをリードするアメリカですが、なかでも全人口の3割を占めるといわれる「ミレニアルズ」(19802000年初期に生まれた世代)のライフスタイルや消費動向、そこから生まれるトレンドは、依然として世界に大きな影響を及ぼし続けています。アメリカのミレニアルズの動向に関しては日々様々な情報が発信されていますが、今回のVOICEjpでは注目すべきひとつの都市にフォーカスしたいと思います。

U.S. News and World Report が発表した最新記事「全米住みやすい都市ランキング 2019」で、テキサス州の州都オースティンが3年連続1位を獲得したということが話題になりました。人口流入でいえば、平均すると1日約100人が移住してきているといわれるほどです(KXAN-TV記事)。と同時に、米リサーチ企業The Langton Co.によるミレニアル世代を対象とした全米都市別のインサイトリサーチの結果、オースティンが「Friendly」と「Clean」部門で1位を獲得しています。米シンクタンクBrookings Institute2018年のレポートによると、オースティンは全米の都市の中でミレニアルズの人口比率が2番目に高い都市で、じつに27.2%を占めています(全米平均は23.4%)。また、2010年から2015年のミレニアルズ人口増加率も全米平均の4.7%に対して、約3倍の14.4%増となっており、若い世代の移住者が増え、着実に人口を伸ばしていることがわかります。

いったいなぜ今、これほどまでにオースティンが若い世代の注目を集めているのでしょう。現地在住リサーチャーが3つの切り口から、ミレニアルズを惹きつける最旬都市オースティンの魅力を分析します。

① “シリコンヒルズ”の発展と優秀な人材の流入

“シリコンヒルズ”の発展と優秀な人材の流入まずオースティンが若い世代の注目を集めている理由として挙げられるのが、「仕事」があるということです。オースティンは以前からIT関連企業の集積地でありシリコンヒルズとも呼ばれています。世界に知られるDell TechnologiesIndeedの本社をはじめ、Googleオフィス、2018年末にはAppleがオースティンに10億ドルを投じて第2本社の建設を発表、Amazonも数千人規模の新規雇用を発表するなど、テックジャイアントがオースティンでの事業・雇用を拡大しており、その影響でシリコンバレーをはじめ各地から優秀な人材が大勢流入してきています。

クリエイティブでイノベーティブな都市イメージ

オースティンが若く優秀な世代を惹きつける理由のひとつとして、いまや世界を代表する「テクノロジー」「アート」「音楽・映画」が融合する祭典となった『SXSW(サウス・バイ・サウスウエスト)』の影響があるでしょう。

過去にはTwitterAirbnbなど、今では誰もが知る革新的なサービスがこのイベントを通じて世界的に注目を集めることになったように、毎年世界中から先端テクノロジー、事業アイデア、各界を代表する企業やクリエイター、アーティスト等が集まり、新しい技術やカルチャー、トレンドが世界に発信されています。

2019年度の来場者数は約417,400人、2144歳までの年齢層が74%を占め、世帯年収10万ドル以上の人がじつに62%に達するとのこと(公式発表データより)。こうした来場者がSNSやレポートでイベントや街の魅力を世界各地で発信し、さらに人を惹きつける好循環を生みます。それに伴いオースティンのイメージも、クリエイティブでイノベーティブな都市として認識されつつあります。

2019年3月8日~17日にかけて開催され、大いに賑わいを見せたSXSW2019

2019年3月8日~17日にかけて開催され、大いに賑わいを見せたSXSW2019

 

② 多様性、リベラル、ローカルファーストな気質

街の至る所でスローガン入りのグッズが売られている

街の至る所でスローガン入りのグッズが売られている

テキサス州は政治的に保守的な傾向にありますが、オースティンはリベラルな街として知られています。他の大都市に比べてもヒスパニックの人口が多いのが特徴で、アジア系の人も含めて多様性に富み、街の人も外から来た人にフレンドリーです。そうした文化は外からの企業や人材誘致にも現れています。

また、都市や人の個性を大切にするカルチャーが根付いており、2000年代に市民の間で広まった非公式スローガン「Keep Austin Weird(オースティンは風変わりであり続けよう)」は、地元の個性や地元愛を大切にしようという想いから生まれ、今ではオースティンの人々にすっかり浸透しています。ポートランドのスローガンとして知られる「Keep Portland Weird」はオースティンが由来と言われています。

こうしたオースティンが持つ気質から、必然的に多様性に富み個性豊かな都市を形成しているのです。

ローカルファーストで豊かな食文化

いまや全米だけでなく英国やカナダにも展開する大手オーガニック・グロサリーストア「Whole Foods Market」は、オースティンが発祥の地。1980年に創業され、地元の自然食材を大切にした小さな食料品店は、その後急速に発展を遂げました(ヒストリーはこちら)。それを支えたのが、ローカルの食材・食文化を大切にする企業精神に共感したオースティンの人たちです。その企業精神は現在も受け継がれ、各地で生産者と消費者をつなぎ、良質な食材を届けるスーパーとして世界のモデルにもなっています。

オースティンで創業したWhole Foods Marketの最初の店舗

オースティンで創業したWhole Foods Marketの最初の店舗

 

AUSTIN FOOD TOPIC

多様性の街で愛される「ブレックファストタコス」

地理的にもテキサスとメキシコの食文化をミックスした「テクスメクスフード」が浸透しており、その代表格が「ブレックファストタコス」!15ドル以下で気軽に食べられ、車移動が基本のテキサスだからこそポータブルである点も人気のポイント。ブルワーカーからホワイトワーカーまで、あらゆる人の朝に活力をもたらす定番フード。

多様性の街で愛される 「ブレックファストタコス」

自然の中で仕事もはかどる?!Mozart’s Coffee Roasters

自然の中で仕事もはかどる?! 「Mozart’s Coffee Roasters」ダウンタウンの西側、湖のほとりに建つ静かなカフェ「Mozart’s Coffee Roasters」は、地元の人々に愛されているカフェ。「Austin Original」を謳い、地域愛を前面に出して運営している。4.95ドルでコーヒー飲み放題、Wi-Fi完備で、自然の中で仕事や勉強に集中できるとミレニアルズにも大好評。冬期にはナイトイルミネーションやライブイベントが開催され、オースティンらしいスポット。

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地元愛と自由な発想から生まれた「ボランティア×出会い」サービス

■ 地元愛と自由な発想から生まれた「ボランティア×出会い」サービス2018年にローンチしたボランティア活動を出会いの場にしたオースティン発のマッチングアプリ「Swoovy」は、オースティンの人々の価値観にマッチして好評を得ています。利用料は無料で、「Central Texas Food Bank」など近隣のNPOと複数提携しており、様々なボランティアイベントの中から興味のあるものに参加表明すると、メンバーがグループ化されて、実際に作業や体験を一緒に共有しながら出会いを楽しめるというもの。同じボランティアに興味を持ったという共通項から始まることや、たとえ恋愛対象がその場で見つからなくても社会のためになることができたという満足感も感じられます。「Tinder」をはじめ大手マッチングアプリは基本的に恋愛が前提の11の出会いを提供するものですが、Swoovyはリラックスして参加でき、コミュニティにも良い影響を与える交流の場になっています。

■ 地元愛と自由な発想から生まれた「ボランティア×出会い」サービス

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③ ミレニアルズが暮らしやすい都市開発

オースティンは比較的に生活コストが他の大都市に比べて安いことも、ミレニアル世代にとって重要なポイントです。テキサス州は税制上の優位性(食料品や医薬品が課税対象外/所得税がゼロのため給与への課税は連邦税のみ)があり、他の大都市から移住すると物価が安く感じられます。発展や人口増加に伴い住宅価格の上昇が起きており課題ではありますが、郊外の住宅開発や公共交通インフラの整備など、暮らしやすい街づくりが急ピッチで進められています。

新興住宅コミュニティ「Mueller」エリア

NYSFLAなどの大都市のダウンタウン近郊では高額すぎて手が届かない持ち家ですが、オースティンのダウンタウン北東へ車で15分程に位置する「Mueller」エリアはそれを可能にするため移住してきたミレニアル世代の生活拠点として人気です。緑豊かで、車社会のテキサスにおいて、食事や買い物、レジャー等がすべて徒歩圏内にあり、近隣の企業誘致も進みコミュニティが活発化しています。

■ 新興住宅コミュニティ「Mueller」エリア

エンタメスポットとしても人気の「フードトレイラーパーク」

オースティンには市内の至る所にフードトラックが複数集まってダイニングスポットを形成する「フードトレイラーパーク」が存在します。食の多様性に富んだ都市のため多彩なジャンルのストリートフードを楽しめる他、場所によってはライブミュージックが聴けたり、ドッグランやキッズプレイエリアも併設され、市民のエンターテイメントスポットや憩いの場として親しまれています。こうした場所でのフレンドリーなコミュニケーションも街の魅力なのです。

エンタメスポットとしても人気の「フードトレイラーパーク」

レジャーや教育にも最適な「Austin Central Library

201710月、ダウンタウン西側の活性化を目的として開館した「Austin Central Library」。6階建てのビルには最新書架はもちろん、カフェレストランや屋上庭園などレジャースポットとしても楽しめます。さらにコワーキングスペースや350名収容のイベントセンターも備え、ビジネスにも活用化。キッズコーナーには3Dプリンタが設置され、教育にも最適です。TIMES誌の「2018 World‘s Greatest Places」にも選出されています。

レジャーや教育にも最適な「Austin Central Library」

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TNCでは米国ミレニアルズ、GenZ、各注目都市の最新動向を見つめていきます

今号のオースティン特集はいかがでしたか?

現地目線で、ミレニアルズを惹きつける都市の魅力を3つの切り口でお届けしました。

様々な業界で世界をリードするアメリカですが、産業構造の変化、働き方や暮らし方の変化、そして今後の経済や消費を担うミレニアルズや「Generation Z」と呼ばれるさらにその下の世代の価値観には、いち早く変化が生まれています。

彼らは自らの意志で仕事、消費、ライフスタイルのあらゆる面を決断し、行動を起こす人が多いため、ニューヨーク、ロサンゼルス、サンフランシスコといった巨大先進都市から、自らの価値観に合う暮らしを求めて、オースティンをはじめ他の都市に拠点を移す人も増えています。移住先の都市が持つカルチャーや資源と、新たに流入した若い世代が交わることで起こる都市の変化が、また新たなトレンドやイノベーションにつながることでしょう。

TNCでは、引き続きアメリカのミレニアルズやGeneration Zのライフスタイル動向、それに伴う各都市で起きる変化や、新たに生まれてくる潮流、トレンドを見つめていきます。アメリカ各都市でのリサーチ、視察、その他都市横断企画など、ぜひお気軽にご相談ください。またアジアのミレニアルズやGenerationZにも着目しレポートを作成しています。ご興味のある方はぜひお問い合わせください。

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