~シリーズ 世界のライフスタイル~ 世界最大級の外食産業見本市 フランス「Sirha」から学ぶ5つのキーワード

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「Salon International Restauration Hôtellerie Alimentation」この頭文字を取った造語が「Sirha(シラ)」であることを知ったのは、マイナス6度のリヨンに着いてからだった。 つまり国際レストラン・ホテル・食料見本市と訳されるべきだろうか。 2年に1度開催、世界136カ国から18万人以上、同時開催のコンクールはポール・ボキューズ氏のボキューズドールを含め20以上。 2017年1月21日から25日までの5日間、美食の街フランス・リヨンで「Sirha(以下シラ)」ははじまった。(文・写真 村上千砂)

 

京都の銘菓、鳴海屋さんのお手伝い。スープもつくりましたよ!

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オーバーな言い方をすれば「一生に一度は行きたい」と思っていたのが「シラ」だった。世界の食の今を見ることができるだろうと思っていた。幸いなことに5日間、会場内で働くというチャンスを得た。なぜ幸いかというと、会場の広さも世界最大級で、ブースの数は3,000!1日でまわれるものではない。毎日ちょっとずつ会場内を巡ることができた。そして私なりのキーワードを見つけた。それをここで発表する。

 

「ビーガン」「ベジタリアン」「グルテンフリー」「ハラル」「アレルギー」・・・今や「何でも食べられます」という人の方が少ないのではないかと思えるほど、食を選択する(する必要がある)人が増えてきた。シラで聞こえてくる言葉も、こうした人に対応するものが多い。中でも注目したのは「ビーガン」である。卵や乳製品も食べない絶対的な菜食主義の食事なのだが、何軒も食べ歩いたが、総じて、おいしいのである。これは絶対に肉だろう!と思って食べると芋のデンプン。これらは主にチルドで製造されている。グルテンフリーも今やニッチではない。コーン粉、豆類を駆使した製品が多かった。また、注目はフムス。起源は中東のどろどろ料理。主にひよこ豆が多いが、こちらも、○○フムスと名付けられ、フムスそのものが前に出てきている。

「ビオデグラダーブル(Biodegradable)」、耳慣れない言葉が、シラの中を駆け巡っていた。何かというと、プラスチックを使わない、すべて自然に還ります(微生物によって分解可能な)、という意味だ。包装容器からスプーン、フォーク、カップ類すべてがプラスチックを使わず、廃棄した場合は「燃えるゴミ」となる。この容器類だけで、シラではいくつもブースが並ぶ。事情を聞いてみると、今では「ビオデグラダーブル」容器を使用しないスーパーの総菜は買わない、そういった容器を起用しないケータリング会社を起用しないという社会風潮になっているという。

東京では会社で全員のランチを購入すれば、ゴミ袋一杯分のプラゴミが出る。東京都はプラスチックも燃えるゴミとして処理をするのだが、分別をする地域ではたいへんなゴミ量になるだろう。弁当をはじめ、調理済み食品がますます隆盛になる昨今、包装容器の未来像からも目が離せない。

ワインを料理とあわせる「ペアリング」が増える昨今、ヨーロッパで人気を得ているのが、カクテルペアリング。このカクテルも旧来のようなお酒+ジュースではなく、ハーブや野菜がふんだんに使われている。例えばハーブが使われたソースの料理には、同じくハーブをベースにエシャロットなどの野菜を入れ、ウォッカでまとめたカクテルをつける、というものだ。もちろん白ワインを活用してサングリア風にするものも多いし、ノンアルコールでお茶をベースにするものもある。シラではこのカクテルをその場で実演するブースが多かった。同時に、食材をカクテルに使用しやすくするために、液体にした商品、さらには香りだけを付けるスプレー商品が目立った。スプレーは、料理の仕上げの香り付けにも定着した。レモンやバジル、胡椒やトリュフなど、こちらも花盛り。

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「そうか、日本産の牛肉ではないのか」、「WAGYUという言葉が世界用語になっている」と感じたのは、もう5年ぐらい前のこと。今回のシラには、まさに「WAGYU」という文字が飛び交っていた。おおむね、日本由来の牛から伝承されているので、間違いでないところが、またもどかしい。されど、日本で産まれて日本で育った牛こそがWAGYUだろうと言いたくなるのは、私が日本人である証拠でもある。その中で、日本産の和牛もがんばっていた。デモンストレーションの後に配られる一切れの和牛をかみしめて「トレビア~~~~ン」とことさら大きな声を発することが、唯一できたエールだった。日本産、がんばれ!

ここ数年、冷凍技術の進歩がめざましく、冷凍=保存ではなくなった。一度、食材を冷凍することでうま味が増すことや、調理過程のひとつに冷凍を取り入れることが増えている。また、日本人の感覚ではどうしても、冷凍→加熱の図式があるが、こちらもヨーロッパは違う。食事の時間を見据えて自然解凍することで食べられるもの、水分やドリップが出ないような技術が進んでいることが、その理由にあげられる。シラの会場では、もう全部が冷凍ではないかと思えるほど、冷凍だらけだった。特に繊細な技術を要するデザートやアペリティフなどは、冷凍の得意とするところ。それと「半調理」製品にも冷凍の波。レストランの人材不足は先進国すべての課題で、レストランの膨大な仕込みを軽減する業務用「半調理」製品がたくさんある。こちらも主に冷凍。冷凍ならば、国をまたぎ、世界中に販売することができる。

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3,000ものブースがあるので、もちろん全部は見きれませんでしたが、5日間かけて見て回った結果をお伝えしました。世界の食の今を感じていただければ幸いです。最後に日本からのブースもありました。高知、徳島のゆず、長崎のそうめん、京都のあられ、大分のぶり等など。こちらも世界中のバイヤー達が興味を持っていました。日本には優れた製品がたくさんあります。2年後のシラには、もっと大挙して攻めたいものです。

170303-5写真は、今回のイノベーション。食品に文字を入れるというものです。パスタに自店の名前が入るなんて、楽しい。その他、紅茶の袋に文字など、技術の進化はとまりません。

 

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