~シリーズ 世界のライフスタイル~ 「食」で笑顔をつくる。その時、企業のトップは食の未来も考えた。

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「食」で笑顔をつくる。その時、企業のトップは食の未来も考えた。VOICEjpでは世界各国の様々な「今」を取りあげてきましたが、今回は日本で注目したい情報をお届けします。テーマは日本の食のひとつである飲食業の取り組みです。2度目の緊急事態宣言が発出されてレストランは時短営業になっています。中には休業しているレストランもあります。医療専門家の「ウィルス蔓延の根源である飲食業」という発言を聞くたびに疑問や悲しみが起きます。そんな中、シェフたちがのろしを上げたプロジェクトがあります。「Smile Food Project – スマイルフードプロジェクト」。医療従事者にシェフたちがつくったお弁当を届けるこころみで、2020年4月8日から延べ20,000食を超えました。新型コロナウィルスと闘う最前線の方々にホッとできるおいしい時間を届けたいというシェフたちの思いが詰まったお弁当です。このプロジェクトをやろうと決断した企業家は「レストラン文化は日本の宝だ」と話します。

海外の日本人シェフたちがSNSを通じて発信した医療従事者への支援。日本で自分たちも何かできるのではないかと言葉にしたのはレストラン「シンシア」のオーナーシェフ石井真介さん海外の日本人シェフたちがSNSを通じて発信した医療従事者への支援。日本で自分たちも何かできるのではないかと言葉にしたのはレストラン「シンシア」のオーナーシェフ石井真介さんで、呼応したのが株式会社CITABRIA代表取締役 石田聡社長。 CITABRIAは、レフェルヴェソンス(ミシュラン三つ星)をはじめとする4店舗と、ケータリングのサイタブリアフードラボを運営する企業で、「ケータリングのための広いキッチンがあり、即座にやれると判断し、身体が動きました」と話します。負担が増す医療従事者に対して「食の力は強い。その食の力で医療従事者の方々が、せめてお弁当を食べる時、おいしいと思い、ホッとできたり、笑顔になってくれたならという思いだったと話します。

「食」で笑顔をつくる。その時、企業のトップは食の未来も考えた。 「食」で笑顔をつくる。その時、企業のトップは食の未来も考えた。 「食」で笑顔をつくる。その時、企業のトップは食の未来も考えた。 「食」で笑顔をつくる。その時、企業のトップは食の未来も考えた。さらに、石田社長は、「日本の食文化は宝であり、レストラン文化も宝。日本の料理、クオリティ、技術、ホスピタリティ、勤勉さ、すべてが世界一だと思います。それを活かすことが、今、我々ができる、やるべきだことだと考えたのです」と話します。最初の緊急事態宣言でレストランは営業がままならず、そうなると、生産者のもとには大量の食材が余ります。それを寄付ではなく、購入して使用することで、レストラン文化の火を絶やさないことにつながると考えました。多くの賛同を得て、寄付を募り、お弁当の開発が始まりました。

「安全で、冷めてからもおいしいお弁当の開発には時間がかかりました。添加物も一切使わず、すべて手作りです。そのためにシェフに考案していただき、学び、提供しているのです」と語るのはプロジェクトの拠点となる「CITABRIA Catering」の奥田裕也シェフ。

取材した日、「後楽寿司やす秀」の綿貫安秀さんが節分の行事食である「恵方巻き」を教えるために来られていました。日本の歳時記はおろか、家族との食事もままならない医療従事者の方々にせめて季節を感じてもらいたいとの願いを込めたこころみです。「先日、病院への配送に行かせてもらいました。その時に聞いた『ありがとう』は、今まで感じたことがない重みを感じました」と綿貫さん。できあがったお弁当には、いわしの南蛮漬け、そばがき、けんちん煮、山椒香る奈良漬けのサルサが入るそうです。お弁当には、すべてシェフの手書きのイラストとメッセージもつけられます。お届けした病院から「おいしさに涙が出た」「明日への活力が湧きました」という反応が寄せられ、シェフたちのよろこびにもつながりました。

「食」で笑顔をつくる。その時、企業のトップは食の未来も考えた。

「常に考えるのは自分でなくてはならないことか?求められていることか?と自問します。『おいしいものをつくって喜んでもらいたい』という原点がぶれず、いただきます、ごちそうさまの言葉に表れている日本人の心に添っていることか?そう考えた時に、このプロジェクトはやるべきという判断でした」と石田社長。シェフだけではできない、生産者だけでもできない、経営者だけでもできない、でも誰かがアクションを起こすことで、大きな輪が拡がる。点と点がつながる。 未だ終息が見えない新型コロナウィルス感染症に、石田社長は「お弁当を届けなくて良い日が一日も早く来ることを願います」。

取材:村上千砂 写真:秋田大輔

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