~シリーズ 世界のライフスタイル~ 「グリーンウォッシング」にならないために 〜世界の企業が取り組む先進的な環境対策〜

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「グリーンウォッシング」にならないために 〜世界の企業が取り組む先進的な環境対策〜

VOICEjpでは、世界各国で暮らす日本人女性ネットワーク「ライフスタイル・リサーチャー」から日々届けられる情報をもとに、現在の社会情勢におけるライフスタイルの変化をお届けしています。
2030年までの達成を目指す「持続可能な開発目標(SDGs)」への世界的な関心の高まり、政府・企業・個人レベルでの行動が進んでいます。その動きは、新型コロナウイルスによる世界共通の危機を経て、あらためて地球や自然環境、人間のライフスタイルを見直すきっかけとなり、今後ますます実際の行動が求められる時期に入っていくでしょう。
今回の特集ではドイツ・アメリカ・イギリスの3か国から、企業の先進的な環境への取り組み事例をご紹介します。企業経営において環境やSDGsへの取り組みは、もはや必須事項ともいえる重要なテーマですが、見せかけだけのパフォーマンスや実態以上に効果をアピールすることは、「グリーンウォッシング」「SDGsウォッシング」(※)と呼ばれ、消費者から批判の対象になる時代です。
これからは、より長期的な目線での方針と実際の行動、そして誠実な情報公開が求められます。一度はグリーンウォッシングと批判されたところから改善をし、最もサステナブルなブランドとも呼ばれる「VAUDE」の事例など、各国から高い評価を受けている事例をご紹介します。

※グリーンウォッシング、SDGsウォッシング=環境やSDGsに配慮しているように装いごまかすこと。上辺だけの欺瞞的な訴求を指す。安価な漆喰などで上辺を取り繕うという意味の英語「ホワイトウォッシング」と環境やSDGsをかけ合わせた造語。

ドイツ
商品も製造過程もサステナブルなアウトドアブランド

商品も製造過程もサステナブルなアウトドアブランド

家族経営のアウトドアブランド「VAUDE」は、2009年に現社長に世代交代してから、サステナブルを経営方針の根幹に据え、2012年にはドイツ本社およびそこで生産される商品をすべて気候中立化(二酸化炭素の排出量と吸収量がプラスマイナスゼロの状態)にした。当時はまだPFC(フッ素系の化合物・ガス)を使用しており、国際環境NGOグリーンピースに「グリーンウォッシング」だと批判された。しかし、そこからグリーンピースに意見を求め共に改善策を探り、商品の97%でPFCフリーを実現。2015年には「German Sustainability Award」で、最もサステナブルなブランドに贈られる「Most Sustainable Brand」を受賞。2018年にはサステナブルと機能性、デザインの調和が評価され、ブランドの中核をなすシリーズの「Green Shape Core Collection」が、「iF Design Award」で金賞を受賞。長く着てもらえるように服の修繕の仕方をウェブサイト上に動画で載せているほか、リサイクル素材や商品のリサイクル、製造過程で出る切れ端を使ったバックの生産などにも精力的に取り組んでいる。

ドイツ
環境に配慮したブランドと連携してトレンドを牽引するドラッグストア

環境に配慮したブランドと連携して トレンドを牽引するドラッグストア

他の大手ドラッグストアに比べて、サステナブル経営に力を入れている「dm」。ドイツで最も売れているオーガニック化粧品である「alverde」、環境に優しい日用品「Denkmit」、オーガニック食品「dmBio」などと連携し、サステナブルでありながら、手頃な価格帯のPBシリーズを数多く展開し、消費者に広く支持されている。環境意識の高いスタートアップ企業の商品をdmがまず先行独占販売するケースも多く、購入された商品と同等の支援活動を行う食品・飲料メーカーの「Share」、固形シャンプーの「FOAMIE」、タブレット型歯磨き粉の「DENTTABS」などがある。消費者に寄り添った姿勢に定評があり、大企業であるにも関わらず「グリーンウォッシング」だと批判されることがない。調査会社「ServiceBarometer」社が毎年行っているアンケート調査でも、「消費者に最も支持されているドラッグストア」の地位を2019年まで19年連続で保持するだけでなく、総合評価の点数を上げ続けており、2019年には「消費者に最も支持されている食品小売業」部門もダブル受賞した。

USA
購入者が寄付先を選べる鉛筆ブランド

USA 購入者が寄付先を選べる鉛筆ブランド

ユタ州の「The Good Pencil Company」は、適正に管理された森林資源を使ったアメリカ産のエコな鉛筆ブランド。2019年に二酸化炭素などの温室効果ガス排出量を測定しオフセットを行い、気候変動対策を行うブランドに付与される「Climate Neutral」認証と、サステナブルで環境や社会に良いと認められた会社に与えられる「B-corp」認証を受けている。鉛筆を1本販売すると学校に鉛筆1本を寄付する取り組みを行っている。購入者は鉛筆を贈る学校の希望を伝えることができる。最近では鉛筆の色別に、鉛筆自体を寄付するのではなく、それぞれの販売金額分を青色は海洋保全団体に、緑色は環境保全団体にといった目的別の寄付も行なっている。パッケージは100%プラスティックフリーで土に還るもの。また、パッケージには針葉樹の種が同封されており、緑化の大切さを啓蒙している。ビジネスにおける環境対策の重要さを学校で講演するボランティア活動も行っており、環境・社会貢献をミッションにしたブランドとして認知されはじめている。

USA
環境保全に取り組むコミュニティをサポートし企業姿勢を訴求

USA 環境保全に取り組むコミュニティをサポートし企業姿勢を訴求

ユタ州の環境に配慮するサステナブルなホームケアブランドとして広く認知されている「Seventh Generation」。30年前から名前の通り「7世代後の子孫」のために、健康で持続可能で公平な世界をつくることをミッションにしている。サステナブルな原料やパッケージを使用し、情報の透明性などに取り組むことはもちろん、様々な環境に関する活動を援助することで、関係コミュニティとの対話を構築してきた。2019年にはNBCの人気ニュース番組「Today」にSeventh Generationが持つCM枠を、気候変動問題に取り組む非営利団体「350.org」に提供して、「GLOBAL CLIMATE STRIKE」(気候変動・温暖化に具体的な政策・行動を求める国際的なストライキ)をサポートするCMを放送した。このように消費者の注目が高い環境に対する取り組みをバックアップすることで、その企業姿勢を発信することに成功している。環境に関心の高い消費者を中心にロイヤリティを獲得し成長を続け、2016年にUnilever社がCSR戦略の流れで買収している。

UK
パン廃棄問題・食品ロスに貢献する本格クラフトビール

UK パン廃棄問題・食品ロスに貢献する本格クラフトビール

イングランド北部ヨークシャーのブリューワリー「Toast Ale」は、「A beer with more taste. A world without waste」(より美味しいビール、無駄のない世界)というブランドスローガンを掲げ、廃棄される予定のパンを使って酵母を製造し、クラフトビールを醸造している。イギリスでは生産量の約44%のパンは食べられることなく廃棄処分されており、この食品ロス問題の対策として生まれたビールだ。2018年に優れた食品に贈られる「GREAT TASTE AWARD」を受賞するほどのクラフトビールとして評価された。クラフトラガー、ペールエールなど4種類を展開しており、330mlの缶入りで1本1.80ポンド。クラフトビールとしてはリーズナブルな価格設定であり、その味とクオリティ、ブランディング、企業理念が幅広く受け入れられ、Tesco、Waitroseなどの大手スーパーを中心に、全国701店もの取引店を持つ。また売上から食品ロス問題に取り込む団体「FEEDBACK」に寄付をしており、自社での事業以外にも食品ロス対策に取り組んでいる。

 


今回の特集ではドイツ・アメリカ・イギリスの3か国から、企業の先進的な環境への取り組み事例をご紹介しました。これからの時代、環境配慮やSDGsの重要性がますます高まってきます。特に、見せかけだけの取り組みである「グリーンウォッシング」ではない、誠実で実践的な各国の取り組み事例に注目しています。これらの取り組みは日本の企業にとっても参考になる点が多いのではないでしょうか。
各国で「グリーンウォッシング」と批判された例としては、パッケージやロゴを緑にするだけ、サステナブルな素材・原料の定義があいまい、提示しているデータに矛盾や不正がある、リサイクル素材の使用を謳いながら実際はほとんど使用していない、などが挙げられます。最近では、社会的・環境的活動に第三者の評価を入れるため、「B-corp」などの評価機関の認証を得る企業も増えています。
最後に、世界が等しく危機に見舞われた激動の2020年でしたが、私たちが地球環境、経済活動、消費行動をあらためて見つめ直すきっかけが生まれた一年でもありました。これからの未来に向けて、個人、企業、政府それぞれが新しいビジョンで行動をしていく必要があるでしょう。
TNCおよび世界各国のライフスタイル・リサーチャーとご一緒できることがありましたら、ぜひお気軽にお問い合わせください。


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