世界のライフスタイル ~西南アジアで急成長を遂げる パキスタンの首都イスラマバードの今~

パキスタン 業種: , , ,  キーワード: , , , , ,

ザ・センタウラス外観。世界的に有名な英国の建築設計コンサルタントAtkins社がデザインを手掛けた。

1億7千万人超という世界第6位の人口を擁し、そのうちの実に60%以上が30歳未満。今後もマーケットが順調に拡大し続ける国として期待を集めるパキスタンを特集します。911以降、パキスタンと言えばテロリズムという危険なイメージが真っ先に挙げられますが、実際には悠久のインダス文明、ガンダーラ美術、ムガル帝国の歴史、世界第2の高峰K2(8611m)をはじめとする素晴らしい文化遺産と豊かな観光資源があります。また、ホスピタリティに溢れ、ゲストをもてなす精神に溢れた国民性である為、パキスタンへのリピーターはとても多いことで知られています。そんなパキスタンの首都イスラマバードの今をライフスタイル・リサーチャーがお届けします。

■首都イスラマバードに初の大型ショッピングモール、「ザ・センタウラス」開業
2013年2月17日、イスラマバード初の大型ショッピングモール「ザ・センタウラス(The Centaurus)」がソフトオープンしました。これはホテル&オフィス&住居を備えた複合施設で、パキスタン産の高級ブティックに加え、Charles & Keith, Giordano, Vincciといった海外ブランドも軒を連ね、百貨店の草分けであるAl Fatahも地上階の一角を占めています。これまでイスラマバードで買い物と言えば専門店が集まるバザールが主流でしたが、今後は買い物客の流れが変わりそうです。

左から順に、エスカレーターそのものが、これまでのイスラマバードでは皆無に近かった為、この吹き抜けの美しい光景は歴史的出来事/ザ・センタウラス店内の一角を占めるAl Fatah百貨店。1941年分離独立前のインド時代にラホールで創業した歴史ある百貨店で、化粧品、衣料、貴金属、高級食器などの他にスーパーマーケットを併設しており、連日大勢の買い物客で賑わっている/イスラマバード初上陸のCINNABON。クラシックロールが1個約295ルピー(約280円)。ドリンクとセットで約600円。ローカルバザールでチャイが1杯20~50ルピーで飲めることを考えると10倍以上の値段設定だが、店内はこの通りの大混雑

■地域密着型のスーパーのフランチャイズ展開に注目
2007年の「独メトロ」、2009年の仏カルフール系列の「ハイパースター」のパキスタン進出以来、キャッシュ&キャリーと銘打った大型卸売りスーパーマーケットが都市郊外に続々と建設されてきました。十数年前までは、肉は肉屋、野菜は八百屋、日用品は雑貨屋・・・という買い物スタイルが主流であったパキスタンにおいて、「あらゆる品物を1店舗で」というスーパーマーケットの形態はほぼ定着したように見えます。しかしこれらの大型店舗は自家用車がなくてはアクセスしづらく、立地も住宅地からは離れており、日々の買い物で選ばれる場所ではありません。そこで生活者の支持を集めているのが、2012年にイスラマバード郊外で開業し、同年内に26軒のフランチャイズ開業を達成、2013年中には130店舗を目指す「メズバンストア」です。かつての日用雑貨店(パキスタンではジェネラルストアと呼ばれる)のオーナーが自店をスーパーマーケットに改装する例は各地で多く見られますが、「メズバンストア」はそのノウハウをフランチャイズ形式にするというパキスタンにおいては非常に画期的な手法を取りました。また、水・小麦・豆類等の食品はプライベートブランドを展開しています。前身がジェネラルストアという店舗が多い為か、早朝の通勤時間帯から開いている店舗も多く、ロイヤリティ条件が適切で店舗数が今後も順調に拡大すれば、パキスタンには未上陸のコンビニに匹敵する存在となりそうです。

左から順に、郊外にある大型ショッピング施設メトロは主に富裕層が車でやってくる/カラチでのオープンを伝えるハイパースターの広告。Facebookとも連動している/破竹の勢いで店舗数を増やしている、真っ赤な外壁が目を引くメズバンストア

Shan, National, Bake Parlorなどパキスタンの食品メーカーが提供する中華ラインナップの一部。シーズニングミックスは、やはりお国柄かスパイシーなものも多く、中には激辛アイテムも

■親密な隣国中国。中華料理もパキスタン主婦のレパートリーに
パキスタンにとって中国は大事な友好国となっています。隣国と言ってもピンと来ないかもしれませんが、パキスタンの北部ギルギット・バルティスタン州と中国の新疆ウイグル自治区は国境を接しています。パキスタンにとっては微妙で繊細な外交バランスが必要とされる大国アメリカ、そして積年の課題を抱える隣国インドとの緊張が高まれば高まるほど、中国への期待と依存は高まる傾向にあります。国内では中国に関するネガティブな報道は一切なされず、近年世界的に高まっている中国への批判意識はパキスタンにおいては全く通用しません。私立では小学校から中国語(北京語)を導入する学校も増えています。食に比較的保守的なパキスタンにおいても中華料理は不動の人気があり、都市部だけでなく地方でもパキスタン風中華料理を提供するレストランが多く、2012年には大手食品メーカーのShanがオリエンタルミックスという中華料理や東南アジア料理のスパイスミックスシリーズを発表しました。また他のメーカーからもChineseと謳った商品が販売されていて、かつては地元スーパーの野菜コーナーでは見ることのなかった中華食材の白菜が冬には当然のように並び、中国産の乾燥シイタケも時折見かけるようになりました。

スーパーに設置されているプリマ牛乳専用冷蔵庫。青いパッケージに合わせた爽やかな青の冷蔵庫。パキスタンの乾いた風土には鮮明な色が映える

■ママの支持を集めて、チルド牛乳の取り扱い店舗急増中
幼い子どもを持つパキスタン人主婦との会話では「どこの牛乳を買っている?」という話題になることが少なくありません。パキスタンでは超高温瞬間殺菌を施していて常温で長期保存(3ヶ月)が可能というロングライフ牛乳が主流となっています。しかしこの牛乳については殺菌を施しているが故に、子どもの成長に必要な栄養素が壊れているのではないか、または市販の牛乳には水が混ぜられているのではないかという噂(根拠不明であるが根強い噂が存在している)もあり、信頼できる牛乳探しに関心が向くのは母親の常となっています。そんな中で注目を集めているのがAt Tahurの低温殺菌牛乳です。以前は外国人御用達のマーケットなどでしか見かけませんでしたが、今年に入ってからは、ありとあらゆる所で見かけるようになりました。この牛乳は要冷蔵で1週間ほどしか日持ちせず、オフィシャルサイトにも「お買い物の際には一番最後に本製品を手にとって頂き、できるだけ早くご自宅冷蔵庫で冷やして下さい」という趣旨の事が書かれてあります。

街中に掲示されている選挙戦のポスター

■政権交代の可能性に寄せられる大きな期待
爆弾テロ、デモ、宗派対立、深刻な電力不足・・・等、パキスタンにはネガティブな印象があります。パキスタンで暮らしていると言うと、まず第一声は「大丈夫なんですか?」という質問。実際のところ、治安面に関しては、2013年はあまり良い滑り出しとは言えず、特にビジネスに関係のある大都市に特化して言えばカラチの治安は不安定です。繊維や皮革製造工場などはラホールとその近郊都市(シアルコットなど)に多く、こちらの治安は現在のところ比較的安定しています。また首都イスラマバードも複数の大規模住宅開発が急ピッチで進んでいて、新空港の建設も進行中で、10年後を見越した場合、非常に有望なマーケットとなり得ると思われます。首都圏は行政だけでなく軍部のお膝元でもあるだけに、治安面で概ね安定しているのが外国人にとっては魅力になっています。2013年初夏頃には国民議会の選挙が実施される予定で、今回の選挙では政権交代の可能性がささやかれています。3月17日から選挙管理政権に移行し、いよいよ選挙へのムードが高まって来ましたが、この選挙で政権交代が実現すれば、治安問題やエネルギー問題が改善されるのではないか・・・と国民は期待を寄せています。

■番外編 ~イスラマバード街角スナップ~

近隣諸国と比べて保守的な印象のあるパキスタンの若者のスナップ写真を紹介します。左の三人組は典型的なパキスタン女性。アイスクリームを食べながらのショッピング中です。娯楽が少ない国なので女性にとって買い物は最高のエンターテインメントとなっています。右のような女性も近年少しずつ見かけるようになってきた、欧米ファッションに身を包んだ女性。こうした足のラインがわかり、髪の毛を隠さない女性はまだ珍しい存在です。

TNCのマンスリーレポートは無料のメールマガジンです。

毎月、世界のビジネス情報を無料でお届けするメールマガジン「VOICEjp」、バンコク発の期間メールマガジン「VOICEth」を配信中です。ぜひご登録ください。

メルマガに登録する