シリーズ 世界の潮流を見る ~各国で独自の進化を遂げる 「ファストフード」の今。~

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注文してからすぐに食べられる食のスタイルとして、身近な存在となっているファストフード。
日本では素材にこだわったグルメバーガーや、バンズの代わりにレタスを使用するヘルシーバーガーなどが話題になっていますが、世界のファストフードはどのようなものが注目を集めているのでしょうか。今回の特集ではアメリカとヨーロッパの国々のファストフードの今を、ライフスタイル・リサーチャーがレポートします。


SNSとも連動した、カスタムメイドバーガーの注文画面

■ NY カスタマイズできるヘルシーバーガー
WHOLEBURGERS(ホールフードのハンバーガー)の店「4FOOD(フォーフード)」では、オンラインでプラモデルを組み立てるように、好みに応じた様々なバーガーにカスタムすることができる。ビーフ、ポーク、ベジー、サーモンをベースに、ドーナツ型のパンの中央部分に「ベジースクープ」(マック&チーズ、エダマメ、チリ、ローストした野菜など)を入れ、さらにトマト、オニオンなどのトッピングを選んで注文する。自分のカスタムバーガーは登録することができ、他の利用客がこのバーガーをオーダーすると、1個売れるたびに25セントが発案者にキャッシュバックされる。すでに登録されたホールバーガーは種類豊富で、「マックダディ」「グリーン・ジャイアント」などネーミングもユニーク。素材はすべて地元産のナチュラルな素材を使い、グルテンフリー、ベジタリアン、ヴィーガンにも対応可能。「ジャンクフードではないファストフード」を目指している。

片手で気軽に食べることができる新しい感覚のファストフード

■ NY ラテンアメリカ発のファストフード「エンパナーダ」
ここ数年静かなブームを巻き起こしているラテンアメリカのファストフード「エンパナーダ」を展開する「NUCHAS(ヌチャス)」。小麦粉で作った生地に具を包んだミートパイで、オーブンで焼き上げてあるので揚げているものに比べヘルシー。定番の「アルゼンチン」は牛挽肉とタマネギ、ペッパー、オリーブの組み合わせ。ミート・エンパナーダは「ショートリブ」「スパイシー・チキン」「プルドポーク」などアメリカ人好みが揃い、ベジタリアン向けには「ポートベロー・マッシュルーム」「ハラペーニョ・ペッパー入りチーズ」、100%ヴィーガンの「シイタケ・カレー」。さらに甘い「アップル・クランベリー・ヌテラ(ヘーゼルナッツ&チョコレード・スプレッド)」もある。片手で簡単に食べられ、1個$3という値段も魅力でランチやスナックに人気。現在はタイムズスクエアの交差点中央のカラフルなキオスクを中心に、フードトラックでSOHOはじめ市内各所に出没している。

スターバックスが姉妹店として展開するジュース専門店

■ シアトル スタバ系列のプレミアムジュース専門店
コーヒーでおなじみのスターバックスが、ヘルシーですべてナチュラルな生のフルーツと野菜を使ったプレミアムジュース「Evolution Fresh(エボリューション・フレッシュ)」を専門に扱う店舗を展開し注目を集めている。「多くの顧客からヘルシーな代替品を入れてほしいという要望に応え、栄養素を残すことができる高圧殺菌法を利用して温めることなくジュースを作り、フレッシュなままボトルに詰めたフルーツや野菜ジュース、スムージーの提供をしています」と話すのは、広報担当者のマリアン・ドングさん。メニューにはサラダやスープも加えて、ヴィーガンやベジタリアン向けも投入。プレミアムジュースは商品化し、ホールフーズなどのスーパーマーケットでも販売中。

組み合わせは250種類以上

■ ベルリン ワッフルで果物を挟んで作るフルーツケバブ ワンダーヴァッフェル
トルコ人の多く住むベルリン・クロイツベルク地区で70年代に生まれたトルコ風ファストフードのドネル・ケバブ。ベルリンではカレーヴルストと人気を二分するファストフードだが、そこに最近登場して話題になっているのがワッフルでフルーツを挟んで作る、その名も「フルーツケバブ WonderWaffel」だ。本物のケバブのようにソース、中に入れる果物、トッピングを自由に選んで自分好みの味に仕上げるもので、トッピングもスプレーチョコやナッツだけでなくスニッカーズ・オレオクッキーなどと幅広く、組み合わせの面白さを楽しむことができる。どう組み合わせても3ユーロと手頃な価格設定も人気の秘密。

店頭にはセサミコリアンダーなど、寿司用ディップも

■ ベルリン ヘルシーイメージを訴求する巻き寿司専門店「sushi.wrap」
健康的な食事としてのイメージが定着した寿司を、手軽にどこでも食べられるようにしたのが巻き寿司専門のファストフード店「sushi.wrap」だ。生の魚を使ったものはサーモンのみだが、ベジタリアン仕様の「マンゴー・ルッコラ・クリームチーズ」 「わさび・ピーナツ・きゅうり」「ほうれん草・フェタチーズ・ミント」、洋風の「ツナ・ドライトマト・ルッコラ」「鶏・アボカド」、ホットサンドメーカーで表面をグリルして食べる「ローズマリー風味のひき肉・ゴルゴンゾーラ・赤ピーマン」など日本人の感覚では考えられない組み合わせが充実しており、魚が苦手で今まで寿司を敬遠していた人たちにも受けている。3本5ユーロのセットを頼み、2本は定番商品、1本は変り種を選ぶ人が多いのだとか。

中華パンの食感が新鮮な印象を与えている

■ ロンドン 肉まん風サンドウィッチ「Chinese bao」
白くてもっちりした中華パンに洋風の具をはさんだフュージョン肉まん「Chinese bao yum bun」が人気を呼んでいる。メニューはベーシックな蒸し豚のほか、ベジタリアンに人気の「ポートベローマッシュルーム」や、ジンジャー&チリサーモン、日本風の唐揚げなど。価格はわかりやすく、どれでも1個3.50ポンド、2個で6ポンドとなっている。2010年にフードトラックでの販売を開始、あっという間に話題になり、2年後には人気投票でBritish Street Food Award のBest Snackに選ばれたのを機に、現在は東ロンドンに店舗を構えるまでに成長した。イギリスはサンドウィッチ発祥の国だけあって、ラップサンド、ケバブに始まり、最近ではメキシコのブリート、ベトナムのバインミーなど、様々なスタイルのサンドウィッチが定着している。ランチは簡単にサンドウィッチで済ませることも多く、オフィス街のサンドウィッチチェーンではランチタイムになると行列ができている。「yum bun」はそんなイギリス人の嗜好を理解し、目新しさも加えた成功例と言えそうだ。


伝統的なアフタヌーンティがファストフード気分で味わえる

■ ロンドン 懐かしくて新しい、アフタヌーンティフードトラック」
近年コーヒーの方が注目されているロンドンだが、紅茶派の人も依然多い。様々な食べ物のフードトラックが並ぶマーケットの中、イギリスのカントリー風の可愛らしいデコレーションで、ひと際目を引くのが「Braithwaites Cream Tea」や「Lullabelle‘s tea」といった紅茶とケーキ専門の販売車だ。イギリスで、3段トレーでサーブされる伝統的なアフタヌーンティと並んで、午後のティータイムに人気があるのが「cream tea(クリームティー)」と呼ばれる、紅茶とスコーンにたっぷりのジャムとクロテッドクリームがセットになったもの。「Braithwaites Cream Tea」では、そのクリームティーが4.90ポンドで販売されているほか、キャロットケーキやクッキーなど紅茶に合う伝統的な焼き菓子が一緒に楽しめる。紅茶が入った紙コップも、車体と同じく白地に青のリバティプリント風のイギリスらしい花柄で統一されており、天気が良い日には車の横に設置されたテーブルで、楽しむことができる。

ハンバーガーは5.95ユーロ、ポテトと飲み物をつけたセットは9ユーロ

■ パリ フランス流100%ベジタリアンハンバーガー
パリは空前のハンバーガーブーム。厳選素材のグルメバーガーやビオバーガー、フードトラックと次々に話題の店が現れるなか、ベジバーガーを看板メニューにした、パリではじめてのベジタリアン専門のファストフード店が登場。一見普通のハンバーガーだが、豆腐ベースのハンバーグにフレンチ食材を加え、味わい深いハンバーガーになっている。「バスク」(バスク風豆腐バーグ、甘辛赤ピーマン、チェダーチーズ、トマト)」や「ポパイ」(ほうれん草入り豆腐バーグ、シェーブルチーズ、レッドオニオン) など、具材に特徴のある4種類のバーガーはどれも 程よい満腹感が得られる上に、低カロリーとあって、ベジタリアンでないお客にも人気。食材や、包装紙などもビオ素材を積極的に使用し、感度の高いパリジャンを引きつけている。

テイクアウト時にボーカル代1ユーロが加算されるが、ボーカルを返却すると戻ってくる

■ パリ ボーカルを使用した、スターシェフのファストフード「ボコ」
フランスのファストフードといえば、サンドウィッチやキッシュなどが定番だが、より料理感があり、フランスの伝統を感じられるものとして、登場したのが「ボコ」。ボコとは写真にあるフランス製の保存びん「ボーカル」の複数形の発音を当て字表記をしたもので、このボーカルに前菜、主菜、デザートが入れられてサービスされている。セットは15ユーロ、アラカルトにするとそれよりも高めになるが、料理界、パティシエ界のスターシェフたちが、メニューを考案、しかも、その食材は100%ビオ製品となれば、決して高くない値段だ。温製料理は、スチームオーブンで加熱してテイクアウトも可能。ボーカルはリサイクルでき、エコロジー面も意識しているこの店は、すでにパリに3店舗と人気も拡大している。

今回のファストフード特集、いかがでしたか。世界のファストフードの大きな潮流としては、アメリカ生まれのフードトラックが、NYではひとつのジャンルとして確立しザガットのレビューで取り上げられるようになり、日本を含め世界中に広がっています。今回紹介したいくつかの店舗もフードトラックでサービスされていて、いまや新人シェフの登竜門となっています。また今回はご紹介できませんでしたが、ロンドンの中華ファストフードのように、インド風ラップバーガーや、ベトナム料理のファストフードが登場したり、スパニッシュサンドウィッチがNYで注目を集めるなど、各国の料理をヒントにしたファストフードが広がりを見せており、日本での商品開発のヒントも大いにありそうです。TNCのFacebookページでは、こうした様々な海外トピックスを更新していますので、チェック&「Like!」をぜひよろしくお願いします。

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